ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

映画『新聞記者』鑑賞記録

ようやく観た。個人的に去年の宿題になっていたのが、『主戦場』とこの映画。

shimbunkisha.jp

 

 

政治であり、歴史であり、この社会であり、わたしの話でもあった。

挑戦的で革新的。こういう映画がありえるのか。

たったの2週間で撮りきったと思えないクオリティ。

 

ありえるといえば、あなたの知らないところで、この国の中枢ではこういうことが起こっているんですよ、と言いたげに、次々と見せられていく現場。

「それはほんとうかどうかわからないが、現実にもありえる、ありえるよな」と思いながら事の成り行きを観る。ここが映画館なのがちょっと不思議な感じにのめり込んでしまうところもある。

もちろんそうならないように、いかにも作り話のように、薄暗い室内で登場人物の上だけライティングされているとか、青いフィルターのかかった画面とか、きっちり不自然にしてある。

 

謎解きにハラハラするシーンもてんこ盛り。一瞬も飽きない。エンタテインメントだ。

NHKドラマ『ハゲタカ』を思い出す。「親の無念」を持っているキャラクターが重なる。

 

しかしあまりにも現実の心当たりがありすぎて、無邪気には楽しめない。

居心地が悪くなるし、悔しくもある。

すごく変な気分になる。

 

観終わって浮かんだのが、自分が会社組織で働いていた頃にやらかした「偽造」の記憶だった。

改竄、捏造、偽造はなぜ後をたたないのか、理由はよくわかる。

そうなる構造があるのだ。

自分もそういう経験があったことが、「会社のためだから」「お客さんのためだから」「みんながやっているから」「こうしたほうがうまくいくから」、、ああ、うぐぐ、、苦しい、、、。

 

「権力とメディア」と「組織と個人」のせめぎ合い。

誰もが目撃したことがあるし、誰もが加担したことがあるはず。

 

ああ、これは、

映画『さよならテレビ』も観たくなるなぁ。。

映画『i-新聞記者ドキュメント』も。。。

こんな記事を読んだり。。

greenz.jp

 

 

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観た人と語りたいと思った。

映画の中で起こっていたこと、現実に起こっていたこと。

何を問われているのか。

 

わたしは政治に詳しくないし、何が起こっていたのか逐一追えていないから、わかっていないことも多い。

でもそんなこと言ってられない。わたしにできることなんだろうと考えたらやっぱり、鑑賞対話の場をファシリテートすることだ。この場があることで「なんとなく観られないまま来た」という人の背中押せるとしたら、貢献になる。

 

そんな勢いで、映画を観て語る場をZoomで開こうと思った矢先、週刊文春でスクープ記事が出て、現実が一気に動き出した。まるで『新聞記者』の続きを見ているようでびっくりした。

 

だがこれで、もはや映画の話をする場としては成立しづらいことも思った。

迷ったが断念した。

状況が動いたのはよいことだと思う。ただ、場としては趣旨がだいぶ変わる。

やるとしたら「週刊文春を読む会」や、「森友学園問題の勉強会」や、参加者一人ひとりの何らかのアクションを促すイベントになるだろう。

またその準備のためには膨大なリサーチが必要になる。

エネルギーも要るが経費も嵩む。オファーされて報酬がつくならともかく、個人の自主開催としてひらくには、引き受けられない負担。

 

でも、せっかく思いを込めて書いたので、未練がましくここに貼らせていただく。

 

 


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映画『新聞記者』を観た人同士で感想を語る場です。

2019年夏に公開された話題作。その後日本アカデミー賞三部門を受賞し、現在アンコール上映中です。
https://shimbunkisha.jp/

「権力とメディア」「組織と個人」のせめぎ合いを描き、現実を巧みに絡ませながら進行する社会派ドラマ。
フィクションの映画という表現形式をとっているからこそ見えるものについて、身に覚えのある「あのこと」について、とっくりと感想を交わしましょう。

今回この場をひらくのは、
「この映画を観たことの意味を一人ひとりが言葉にする《場》が、今とても必要だ」と、私が感じているからです。
個人としても、この社会の一構成員としても、ファシリテーターという職分としても。

「社会課題や政治に対して自分の意見を持つ」そのずっと前の素朴な感想を、安心安全に言葉にできる場。
「おもしろかった」「ドキドキした」のその先を言葉にする、勇気をもてる場。
講釈を聞くのではなく、批評を戦わせるのではなく、知識の多寡を競うのではなく、現実との正誤を追究するのでもない場。
「わからない」「なぜだろう」を安心安全に口にできる場。
他者と共に、可能性と希望を見出すことのできる場。

どんな話題も感想として歓迎します。
 1・物語について(ストーリー、プロット、シーン、エピソード、セリフ......
 2・製作・興行について(監督、脚本、俳優、撮影手法や技術、評価、成績......
 3・想起された個人の経験
 4・解釈された社会課題、世界情勢
この作品の性質上、4が多くなりそうですが、時間のおおよそ6割は映画の話をしたいです。進行にご協力願います。

平日、夜、Zoom、少人数、参加費。
さまざまな制約があるかと思いますが、逆にこのひらき方だからこその可能性があることも期待しています。

ご参加お待ちしております。

 

*これから観る方へ:演出で常にカメラを揺らしてるので、画面酔いしやすい方は映画館など大きいスクリーンで観るときは少し心の準備を。わたしはぎりぎりだいじょうぶでした。

 

 
◆主催・ファシリテーション
舟之川聖子(ふなのかわ・せいこ)
 
鑑賞対話ファシリテーター、場づくりコンサルタント、感想パフォーマー
芸術や文化や教育の担い手と共に、作品と鑑賞者同士の対話を中心とした場をひらく。

鑑賞者に対しては個々の内的変化と行動変容を促すことでシチズンシップ、オーナーシップ、アントレプレナーシップを育み、担い手に対しては短期的な動員数や売上向上はもちろん、中長期的な芸術や文化の理解者や支持層を獲得することを目指す。

場づくりコンサルティングを通したつくり手のサポート。

書く・話すなど自身の表現活動も行っている。

hp: https://seikofunanokawa.com/
blog: https://hitotobi.hatenadiary.jp/
twitterhttps://twitter.com/seikofunanok

 

自分の覚悟を決めるためには、書いておいてよかったと思う。

 

別の作品やテーマで語る場をオンラインでひらくことは考えている。

企画や営業の手は止めていない。

 

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鑑賞対話ファシリテーター、場づくりコンサルタント、感想パフォーマー

seikofunanokawa.com