ヒトトビ〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する場づくりを通して考えることなど。

ことほぎラジオ最終話を配信しました

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ことほぎラジオ第12話を配信しました。

 

...と、その前にも第11話を配信していたのですが、こちらでお知らせするのを失念。。

doremium.seesaa.net

 

去年のちょうど今ごろにけいさんから「ポッドキャストやってみませんか?」というメールをいただいて、はじまったことほぎラジオ。

毎回いろんな場所へレコーダーを背負って録りに行き、何回も何時間もあーだこーだと議論を重ねながら、作って流し、作って流し、気づいてみれば12回。

芸工展でリアルの場もつくれ、前々からやりたいねと言っていた公開録音もでき、7人ものリスナーさんに見守っていただき、おたよりも送ってくださり、配信後もおたよりをいただき...。

どこへ辿り着くかわからない毎回の挑戦を、おもしろがりながら温かく見守ってくださったリスナーでありことほぎ研究員(勝手に任命!)の皆さんに感謝です。

 

その後のことほぎ研究室も、あれこれ楽しいことを考えています。

また近々お目にかかれそうです。ごきげんよう

 

 

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火鉢を囲んで昔話

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先日、調布はつつじヶ丘にあるもえぎ家さんへうかがい、友人のeicoさんがひらいている「おとなの絵本クラブ」に参加してきました。


もえぎ家は4人の作り手によって運営されている古民家。書く人、描く人、料る人、温(ぬく)める人が、古くから受け継がれているものの中にある智恵を見直して、今の暮らしに心地よく取り入れる、営む場を守っています。そんなもえぎ家の場の良さを生かすべく、今回の大人の絵本クラブは、「昔話と火鉢deランチの会」と題して、昔話を読み合って、語り合ってみようということになったそうです。


eicoさんとは6年前からのお付き合いなのですが、2年ほど前に「絵本のブッククラブの立ち上げたい」というご相談をいただいて、また今回も昔話の本を取り上げるにあたってもご相談いただいて、僭越ながらアドバイスめいたことをさせてもらってきたので、どんな場なんだろうとわくわくしながら行ってみたら、想像をはるかに超えた心地よい空間がわたしを待っていました。

eicoさんの好きと好きじゃない、したいとしたくないのハッキリしたところが好きなんだけど、それを人に押し付けるでもなく、完璧主義に陥るでもない、絶妙な加減が心地よかった。

 

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この日は「日本の昔話5 ねずみのもちつきという超短編の昔話がたくさん入った本から、「ねずみのもちつき」「さんまいのおふだ」「サトリ」の三篇を取り上げ、一人ずつ朗読して、読んでみた感想、聴いてみた感想を自由に話しました。

わたしは絵本の読み聞かせを家でも小学校でも、ときどき大人にもやっているのだけど、絵のないお話を朗読したり、人に朗読してもらったりというのは久しぶりで、自分の中に浮かんでくるビジュアルイメージの瑞々しさに驚きました。短いもので3ページ。長いものでも10ページ程度のお話は、寝る前にこどもに読んでやるととてもよさそうです。

昔話は描写が細かくないにもかかわらず、その場面が浮かんでしまう不思議があります。つじつまの合わなさも多分に含みながら、しかしそれゆえに安心して入り込める力があります。しかも「むかしむかし」ではじまり「とっぴんぱらりのぷぅ」などの始末によって、入り込んでも「これは物語なんだよ。だから安心して聞けるよ」と教えてくれている。

福音館書店の編集者・田中秀治さんがゲストでいらしていて、専門家ならではの視点をいただけてよかったです。地域による違いや、心理学からのアプローチ、小沢俊夫さんや河合秀雄さんなどの関連本も紹介してくださり、どれも興味深かったです。「かがくのとも」「こどものとも」の創刊に携わられた方で、このシリーズ大好きなので、愛が伝えられたのもうれしかったです。

読み解いていく中で、理屈では説明のつかない現象や、処理しきれない感情を、現実と並行して走っている昔話の世界(パラレルワールド)に託すことで昇華させてきたのではないか、という話題も出て、ここでもまた物語やファンタジーの存在について考えました。

 

 

ちょうど最近にじいろたまごさんと、「朗読からわいたイメージを絵に描いてみる会をやりたいね」と話していたので、とても参考になり、タイムリーでした。


絵本クラブのあとは、みんなでわいわいきりたんぽ鍋。火鉢であぶったきりたんぽ、白子ポン酢、ぶりかま。料る人(HARAMIRAIさん)や場を整える人たちの一つ一つのお仕事が丁寧で、すごくおいしかった。幸せな初冬の一日でした。

 

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以前の運営メンバー・描く人megumi aratameさん。ウェブサイトに並ぶお仕事の数々もため息が出る。

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爪という小さな宇宙に描く人・たまリバネイルさん。この日ご本人がされていたネイルもキュートだった。古民家でネイルっていい。

tamarivernail.amebaownd.com

 

 

温める人、かな子さんのタイマッサージ。女性にうれしいユーファイの施術も受けられる。

yurunoba.com

 

eicoさん、もえぎ家の皆さん、ありがとうございました。

 

 

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秋のスケッチ遠足

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造形+自然の教室にじいろたまごさんによる秋のスケッチ遠足に行ってきました。ここには、春のスケッチ遠足、晩夏の虫取りと来ていて、きょうが三回目。初冬の川縁。色も光も音も来るたびに違っていて、こどもが見つけるものも違っていて、自然遊びやはり楽しい。お天気にも恵まれて、ありがたかったです。

わたしは水面に映る秋色の葉っぱを生らした木にグッときた感じを描きたかったのに、どう捉えていいかわからず、色も見えなくてイライラして、途中ですっごくやめて帰りたくなった。

なぜか息子にも伝染して、二人で描けない描けない悲観的になっているのに対して、先生があれやこれや親身にアドバイスくれてるんだけど、全然入ってこなくて、でも堪えてなんとかやりきろうと苦しみながら描いて、終わって最後にちゃんと見てみたら描きたかったものが描けてて、うわーなんだこれ!と思った。

先生が終わってからのふりかえりで「お風呂に入って後悔することがないのと同じで、やったら絶対いい結果が待ってるってわかっているのが絵を描くこと。わたしはそれを伝えてるのかも」と言っていたことも印象深かった。

帰り道につらつら考えていたのは、あの途中で嫌になってやめて帰りたくなる感じは、競技かるたをやりはじめて一年ぐらいまで思ってたのと似てるということ。でも一年過ぎたあたり、確かかるたCafeを終うって決めたあたりから急に、途中で嫌にならなくなった。

いや、正確に言うと嫌になる気分と折り合いがつけられるようになった、かな。たぶん、嫌な気分になっても、終わったら何かを引っ付かんでいることが、やる前からわかっていたり、何が見えるか知りたくてきょうもやろうと決めているのかなと思う。つまり「ある程度の量辛抱強くやることが必要」ってことかもしれず、これ、わたしにとってけっこう大事な話かもしれない。

それから、やはりおもしろく不思議なのは、同じ場所にいるのに、全然違うものが表れてくるという人の違い。切り取る景色にしても、色にしても筆にしても、たくさーんある構成要素の中でそれを選んだのかぁっていうところ。

この日の朝たまたまこの講座を見つけて、近所だ!と思って参加したという女性は、中学生まで部活で絵を描いていて、スケッチも何十年ぶりかとおっしゃっていた。一人ではなかなか描きに来られないんだけど、こんなふうにみんなと一緒ならって。

それもこれも全部、場を守っている人がいるから安心して自由になれるの、ありがたいし、ひらく人の喜びからつくられてる場ってやっぱ居心地がいい。なにより途中で嫌になることがあるのも織り込み済みっていうところが、さすが先生だなぁと思った。

最後に講評の時間があって、楽しかったところ、苦労したところを描いた人が話して、先生や他の参加者さんからもフィードバックがもらえるのがやっぱりありがたくて、労われるとか報われるとか伝わった感じがしてうれしい。

写真も撮ってみたのだけど、目で見たのとも絵で描いたのとも違ったものになっていて、そういうのもおもしろかった。

 

今週末は人体クロッキー!こちらも楽しみ!!

 
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芸工展2017に出展しました

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ことほぎ研究室として出展した芸工展。やっぱり今年もすごく楽しかったです!

リスナーさんはもちろん、友だち、ご近所さん、芸工展を回っている人、通りすがりの人などなど、たくさんの人と一緒に過ごせました。時間がないんだけどなんとか来た!って顔を出してくれた方もうれしかった。いろんな話を聞かせてくださってありがとうございます。

 

「この時間はずっとここにいるから、出入り自由でフラッと遊びにきたら、なんらかおもてなしするし、あそぼうね。ただ見てるだけでもいいし、お茶飲んで本読んでるだけでもいいよ」っていう場が作れるのは、わたしにとってはうれしいことです。普段は「この日の何時から何時まで、事前申し込み」という短く固定した場を運営することが多いので、だれでも来てよくて、その日一日のどこかとか幅を持たせられるのはいいし、一晩寝て翌日もあるのも、きのうできなかったことがきょうできるとか、わからなかったことがきょうわかるとかがあって、よいのです。

お店で働いたこともあるから、あの喜びをまた味わいたいっていうのがある。そしてもちろん構えて続けることの大変さも知っている。その両方を追体験するのが、一箱古本市だったり、芸工展だったりするのかな。これもひとつのわたしにとっての「必須微量なんとか」なのかもしれない。

ひとつの場が生まれては人が入れ替わり、次の場がはじまるのが、自然と数珠つなぎのように起こるのが楽しく心地よく。香隣舎という場所の力や、ここが芸工展の本部で実行委員の皆さんが一緒に守ってくださっていることなどもあって、安心であたたかな場になれていたかなと思います。ここは去年と同じだけれども、今年は二人で出たことで広がりが全然違っていた。人とつくるほうが、やはりぜったいに遠くまでいけるのだ。

 

25回となる芸工展のコンセプトとして変わらずある、"表現したいことのある人が、まちの資源をつかって、日常の延長としておすそわけするように出展する"というところが、わたしはとても好きです。わたしたちのお店も、掬ってみればいつもそこにあるものを形にしたらこうなった。いつもこんな感じで生きていきたいなと思うもの。

 

雨降る寒い中、足を運んでくださった方、ご関心を寄せてくださった方、ご協力くださった方、ありがとうございました。

そして何より一緒に場をつくってくれた、ことほぎ研究室の相方・けいさんに心からの感謝とその偉大な才能に敬意を。拍手&握手。

 

芸工展は10月末まで谷中・根津・千駄木・上野桜木・池之端・日暮里エリアで開催しています。どうやら長雨の期間も終わったようですので、ぜひぜひお出かけください!

 

▼出展者情報はこちらから▼

geikoten.f-set.jp

 

 

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季節のおたより

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以前バッグを購入したショップからシーズン毎に届くカタログの中にいつもノベルティグッズが入っている。物も材質も様々。今回は箸置きだった。

お手紙も添えられていて、

「ご挨拶と、日頃の感謝の気持ちを込めてお届けさせて頂きます。そして、出来る限り続けて行きたいコト。カタログと一緒に、ノベルティープレゼント」…とのこと。

顧客への気持ち、継続してよいものを作っていこうとする覚悟をこのように表す。これを作るのにもお金がかかるわけだから、きっと一緒に経営する仲間でたくさん話し合って誓われたんだろうと想像する。

バッグ以外にも、ウェアやジュエリーなどにも展開して、きっとこれからも変わりつづけていくけれど、この初心を忘れないようにと。届いても届かなくても、わたしたちは可能な限りこのようにありますと。

そしてこれが包まれていた小さな袋に、ショップのロゴのゴム印を押してシールを貼る作業をした人がいる。先日参加した場で、メール便の封入が作業所の仕事のひとつにあると聞いたので、もしかするとこの箸置きもそのような方々の手を経ているのかもしれない。

 

また別に、ここ何年も洋服を購入させていただいている方とふとした投稿をきっかけにTwitter上でやり取りすることができた。その方の作る服がとても好きだという気持ちを伝えられたこと、さらに名前から住所録をめくってくださって、お互いの「いつもありがとうございます」の気持ちを伝えられたことがうれしかった。

 

ものを作る方々との、年月を越えた温かな交流を感じた、秋晴れの日曜日の朝。

 

 

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芸工展2017に今年も出展します

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去年「ヒトトビ」で出展した芸工展に、今年はことほぎ研究室で出展いたしまーす。

皆さまのお越しをお待ちしております。

 

* * *

 

私たち「ことほぎ研究室」では、自分たちの好きなことを書いたり作ったり話したり聴いたりすることを通して、この世のさまざまな事象をいかにことほぐことができるのか、日夜研究を重ねています。

ふだんはポッドキャスト「ことほぎラジオ」でその過程をご報告していますが、今回は谷中・根津・千駄木周辺を舞台に開催される「芸工展」にて、かわいいグッズとトークで、これまでの研究の成果を皆さまにお届けいたします。
秋のお散歩がてら、ぜひゆるりといらしてください。

 

【日  時】2017年10月14日(土)・15日(日)10:30-17:00
【会  場】香隣舎(こうりんしゃ)
      台東区谷中7-17-6
      芸工展本部のあるところ
      朝倉彫塑館の並び、築地塀の近くにある、明治の商家の趣を残す谷中らしい建物です。

【アクセス】JR日暮里駅北口徒歩5分 または
      東京メトロ千代田線千駄木駅徒歩10分

 

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【お品書き(予定)】※ご予約は不要です
  ・棒人間グッズ
   →棒人間イラストマグネット&まつわる文章
  ・コーヒー屋さん
   →桂さんがコーヒー屋さんになります
  ・ことほぎトーク
   →リクエストに応じ15分ぐらいのトークを1人or2人でします
   -かるたの話
   -文楽の話
   -詩の話
   -切手の話
   -?の話
  ・名画の模写
   →来てくれた人も名画を棒人間で描いてみよう!
  ・音読
   →お手持ちの本orこちらにある本を音読して差し上げます。
  ・古本屋さん
   →選りすぐりの古本を販売します。
  ・星のランプ
   →桂さんデザインのランプの販売
  ・公開録音
   →ことほぎラジオの公開録音、できたらいいなぁ...
  
その他いろいろ......
  ご希望に応じ、またはタイミングでなんかしらやってます。


芸工展とは...(公式HPより:http://geikoten.f-set.jp/2017/

第25回 芸工展2017
会  期:10月1日~31日 の毎日
会  場:谷中・根津・千駄木・上野桜木・池之端・日暮里界隈
アクセス:JR日暮里駅、JR上野駅、JR西日暮里駅
地下鉄千代田線、千駄木駅根津駅
特設 H P:http://geikoten.f-set.jp/2017/

「まちじゅうが展覧会場」のキーワードを掲げた谷中芸工展(現在は芸工展)は、平成5年(1993年)に産声をあげました。毎年10月、2週間にわたり、谷中・根津・千駄木・日暮里・上野桜木・池之端界隈を舞台に開催されています。

芸工展はまちに暮らす人々の日常の創作活動や表現を大切に紹介し、まち内外の多くの人がまちの魅力を語り合う場を、また「日常の延長としての表現」を通して、まちの様々な人が互いの生活を理解し、認識を深めていく交流の場を目指しています。

芸工展の参加者は、筆や彫金、せんべい、鼈甲といったこのまちに根付く職人の技の他、まちに点在するギャラリーでのジャンルを問わない展示やアーティストのアトリエの公開、路地や街角でのワークショップ、また自宅の一室で行う展示などの自主企画からなります。十数店の参加者とはじめた芸工展は、現在100近い企画数までに拡がり、訪れる人々にとってまちの未知なる魅力を発見する場となっています。

 

 

ポッドキャスト「ことほぎラジオ」はこちらで聞けます。
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映画「沈没家族」を観た

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Pia Film Festival(PFF)のPFFアワード2017作品の一本、「沈没家族」というドキュメンタリー映画を観てきた。

映画周辺の仕事をしたい!と漠然とした気持ちだけで上京し、映画ビジネスを学び、映画製作にもほんのちょびっとかかわるという経験をしてきたわたしにとって、PFF作品を観に行くというのは、旧友に会いに行くような心持ちだった。上京当時はアルバイトもしていたが、とにかくほぼ毎日映画を観ていた。

今回の京橋にある東京国立近代美術館フィルムセンターは入場料も安く、一日に複数本上映されているということで(たしか入れ替えもなかった?)、入り浸っていた映画館の一つだったので、懐かしさひとしおだった。一昨年、息子と夏休みに活弁を聴きにきたりもしたのだけど、やはり20年前の記憶のほうが鮮明だ。

 

この日は、ことほぎラジオ第4話にゲストで来てくれた友人の高橋ライチさんと一緒に観に行った。彼女はかつての「沈没家族」の重要な構成員の一人で、この映画にも娘さんと出演している。

沈没家族については、彼女から折に触れて聞いていたし、別件でインタビューをしたときに詳しく聞いた。Wikipediaにだって載っている。なので、実際の映像を観て、「ああ、話には聞いていたけれどこれが…!」という感慨深い思いだったし、映ってる人が隣にいて、それが友人でもある、なんてことも生まれて初めてなので、その自分の中の混乱ぶりがおもしろかった。混乱といえば、PFFやフィルムセンターに行くことがわたしにとって20年前の出来事と重なるのに、映画の中でも20年前へ遡及していて、時間の感覚がおかしくなって一人でふらふらしていた。

映画は、監督の加納土さんが当時の関係者たちにインタビューをする形で入っていく。しかし次第に、土さんにとって、母にとって、父にとって、沈没家族とは、あの時代はなんだったのか、自分にとって家族とは何かに迫ってゆこうとする意思が形をとりはじめる辺りの濃度が高く、ぐっと引き込まれた。それはつまり「なぜこれを映画にするのか」という問いへの彼の答えでもあった。生い立ちを訪ねるドキュメンタリー映画はテーマとしても手法としても珍しくはない。膨大な記録の中から、何を残し何を捨てるのか、自分が張本人の物語だけに難しいし苦しい局面もあろうかと推察する。なぜ記録するか、なぜ他人に見せるかも含め...。

沈没家族が行なっていた共同保育を、何かの思想や反社会的な活動と観る人もいるのかもしれないが、きっかけや動機はなんであれ、子どもの育ちに見知らぬ大人が大勢で本気で考えている姿を見て、わたしはなんともあたたかな気持ちになった。育む、かかわる、手をかける、共にいる、心をつかう、愛を伝える…...。形態の奇抜さもありつつ、それだけにとどまらない魅力がある。ネタでもなくイデオロギーでもない、一つの個人的な家族の物語。この映画を起点に立ち現れてくる何かは、これからの「家族」関係の変化や土さんがこれからつくるであろう家族の存在も予感させ、物語ははじまったばかり、という希望に満ちている。(実際、彼はまだ20代前半なのだし)

羨ましいような理解し難いような。笑えるような泣きたいような。記憶と関係を結び直しながら今も生きる「家族たち」に愛おしさがわく。当時と今とそのあいだの時間をしみじみと感じられる映画だ。

 

わたしはこの映画を関係者から直に話を聴くことから入っているので、すごく知っているようであり、でも関係者ではなく、でも初見の観客でもない、という不思議な立ち位置にいる。内容的にも「人の手を借りながら子どもを育てていく」というところで、個人的に目を逸らせない部分をもった映画だ。単一の属性で切って共通することなんてほんの少しと思っているし、穂子さんとわたしは人間が違うし、状況も環境も違うのだけど、映画の中で彼女の話してることやその様子は、共感して余りある。対する立場の「山くん」にも思うところがある。他人の話なのにまるで自分のことのように感じられてしまった。そうなると、わたしにとっての家族についてもやはり考えざるを得ない。それはしんどくもあり、あたたかくもある物語だ。

 

この映画や映画に出てくる人たちに全く関係したことのない他の人は、ここに何を観るのだろう。とても興味深い。ぜひとも感想を聴きあってみたいと思う。

 

「沈没家族」は京都国際学生映画祭2017にも入選したそうで、11月25日(土)〜12月1日(金)まで京都シネマ(COCON烏丸3F)で上映されるとのこと。関西の方、ぜひ!!

 

 

▼最後にみんなで撮ってもらった写真。終了後に加納土監督と沈没家族メンバーの藤枝奈己絵さんともお話できてよかった。

 

 

▼ライチさんのブログ(沈没家族に関係するもの一部)

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