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ヒトトビ〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する場づくりを通して考えることなど。

16時半からの上野公園

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みんなが帰りはじめる16時半ぐらいから上野公園へ行って、スタバでコーヒーを飲んだりチーズケーキを食べながら、日が傾いていくのを目の端に感じながら、それぞれに作業に没頭し、ハッと顔を上げるともう真っ暗で人もまばら……という過ごし方が好きで、息子を誘ってたまにやる。

 

科博やトーハクなど一部の館で金曜と土曜に夜間開館を実施しているので、それに入ることもあるし、たまに都美の売店を冷やかしたりもする。けれど、きのうはそういうのもなく、滑り台などの遊具がちょこっとあるところでめいっぱい遊んで、疲れた頃に暖をとりにいくのもよかった。広場では何もイベントはなくて、ただ冬の美しい日暮れの音があった。

 

スタバの客層が時間の経過とともに変わっていくのもおもしろい。一番星が出る頃にはこどもの姿はほとんどなくなり、ぐっと大人の時間になる。子連れの人々は、ずいぶん遠くから来ているのだろうか。というより、「動物園に行く!」とか目的がはっきりしているので、それが終われば居残る理由もないのか。

 

店を出て振り返ると、夜の暗い中に浮かび上がるこうこうと灯る明かりがまぶしい。エドワード・ホッパーの"Nighthawks at the diner"にも似ているけど、店内の人々はあの絵よりもずっと幸せそうに微笑んでいる。

 

わたしは小4まで大学の構内にある官舎で暮らしていた。他の領域から確かな力によって守られた広々とした公園の近くにいて、だいたいどこに何があるかわかっていて、その日の気分で自由にいたいところにいられて、知や芸術が人間にとって大切なものとされている…というあたりに、あの頃のことを思い出して満たされるのだろう。

 

なんということのない、穏やかで美しい冬のある日。

これもまた大切な記憶としてわたしの中に残ってゆく。