ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

なぜ?どうして?を問いなおす

10月と11月に1回ずつ、対話型ファシリテーションの勉強会をしました。 

 


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2年前にもこの勉強会は2回ひらいたことがありました。

そのときの様子はこちらのレポートをどうぞ。

わたしのテキストは表紙が薄いのもあって、もうこんなにぼろぼろになっちゃった!

 

 

 

 

今回は、KLASSでひらいた、「また行きたい!と思える場をつくるゼミ」を受講してくれた人に役に立ちそうだな、とピンときたので、スピンオフ勉強会としてやりませんか?と声をかけたところ、 「今自分のやっていることや知りたいことに関係ありそう!」「実は2年前の勉強会に参加したくてできなかったの!」と友人知人11名が集まってくれました。ありがとう!

 

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あらためてみんなで練習してみて、いいメソッドだなと思います。

この2年、よい人間関係をつくり、育んでこられたのは、このメソッドのおかげでもある(もちろんこれだけではないけれども)。


「なぜ」「どうして」を封印する、というのは悪者にするのではなくて、問い直す試み。

その底には「ほんとうに知りたいこと」がある。


いや、その前に、その人に「伝えたいこと」があるのかもしれない。
「仲良くしたい」とか「わたしのことを知ってほしい」とか。

 

「なぜ」「どうして」と聞いても、「今どうしてわたしがそれを聞いたかっていうとね」と意図をあとから説明することもできる。

事実質問って尋問みたいになるとか、誘導的になるとか、いろんな難しさもありますが、「わたしはその人とどのような関係をつくりたいのかな?」を持ちながら、ゆっくり一緒に歩いていくように聴けたらいいなぁと思う。

 

 

「なぜ」「どうして」がよいのは、ひとつの答えや正解を求めない、オープンな問いかけのときですね。たとえば哲学対話。

「なぜ我々は生きるのか?」

「なぜあなたはここにいるのか?」

「どうして勉強しなくてはいけないのか?」

それに応じて出てくるのは、答えというよりも、願いや祈りのようなものかも。
広く深い海のような時間になりそう。

 

 

 

今回おもしろかったことの一つに、相手が感じていることや考えていることを推測しながら会話を進めていたのに、相手に問い合わせてみたら実は違った、という現象がたびたび起こっていたことがあります。

話しているのは相手なのに、「きっとこう感じているだろう、考えているだろう」という、自分の立てた推測を当てにしすぎる、信じすぎる、思い込む、ということが会話の中では起きている。

もちろん、日常会話の中でいちいち聞くわけにいかないのですが、たまにこうやって、「今の誘導的な感じがした?」と率直に聞いても、自分の思い込みがわかっておもしろいかも。

 

相手の感覚や感情を先回りして抑えなくてもいい。

もっとついていっていい。

その中で、自分の中に起こっている感覚や感情を表現してみることや、提案もできる。

自分からまず相手を信頼して。

 

 

たとえば「さっきから話が堂々巡りしている感覚がわたしの中にあって、この状況をどうにかしないといけないのではと焦る気持ちもわいています」とか、

「もう少しそのときの状況をあなたと一緒によく見てみたいんです。それがいつどこで起こったことなのか聞かせてください」とか。

 

質問すること(何を聞き出すか)だけに集中するだけでは、コミュニケーションにはならないのだよなぁ。外界の観察と内面の観察を同時にやっている。そこが、このメソッドが「対話型ファシリテーション」と名付けている理由なのかも、とようやくピンときました。

 

 

 

皆さんの感想

人と話す、聞くって毎日やっていることだけど、手法とかスキルとして意識してやったのが今日が初めてだったので頭がはちきれそうです。確実に新しいシナプスが生まれた気がしています(笑)。今日の勉強会を受けて、また本を読み返して、そして日常の中で実験的に質問の仕方を変えてみて、反応を感じたいと思います。めっちゃ楽しかったですー!!

 

充実の時間になりました。仕事のみならず、プライベートでも早速実行出来そう(^○^)実践してまた後日報告したいです! 

 

難しい…難しいけれど、よりクリーンな問いかけになるのを感じます。

それでどんな関係をつくりたいか、の視点は私あまりなかったかもな…と気づきました。どんな風に解けていくかな。。これから意識していきたいな、と思います。

 

子どもたちに質問するとき、どうしてそう思うか?を聞くのに、なぜ、どうしてを使わないと、話しやすいんだなーと感じてます。おもしろいなー。また、練習したいです(^^)

 

本で読んでるときは、「そーそー!そんな風に言えたらいいのよね〜!」と思ってるけど、実際やってみるとしどろもどろだったり、難しいな〜と思いました。

でも、事実質問だと確かに、考えるのではなく思い出す作業なので、
あまり負担がないんだな〜というのは実感。

人の話を聞くのは好きなので、今までは思うままに聞いてしまってましたが、それだとお相手の気づきのお手伝いには必ずしもならないんだな〜と分かり、今後は今回のことを踏まえて質問するってことをやっていきたいなと思います。

 

すぐさま何かが激変することはなくても、今まで疑問なく使っていた「なんで?」「どうして?」アプローチのワナというか、いかに無意識にやっていたかなどの発見がありました。

今後、人に対して何か聞くときに一瞬、立ち止まって聞くことができるかも、と思いました。

 

2時間とは思えない濃厚さと満足感でした。

きちんと人と触れ合うこと、やっぱり必要ですね❤︎

 

勉強会後のランチで、空中戦になってしまった会話を地上戦にもちこむには、
・もう一つのグループで流行っていた「それは最近ではいつありましたか?」を使ってみる
・話の中で誰かに言われたことについて「何と言われたんですか?」と、事実として言われた言葉を質問する
・話をひとつの事例に絞って、いつですか?だれに?どこで起こった?をひとつひとつ聞いていく。質問を細分化する。
というようなシェアがありました。リベンジしたいーと思いましたが、まずは日常生活で意識するところからですね。

 

 

「学びの場に参加するときは、きょうこの場に来られなかった方の代表と思って参加している」とは友人の言ですが、ぜひご自分の現場や持ち場で、なんらかの形でシェアしたり、表現したり、活用してみていただきたいなぁと、場をひらく側も願っていることも、ここに置いておきます。

 

ご参加ありがとうございました!

まだまだ書ききれないことたくさんあるから、みんなで「その後何か変化があった?」を聴くブラッシュアップの会をやりたいな!

 

 

聴く人といえばこの人かな?

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最後に。

 

この本を出版しているムラのミライさんでも講座がひらかれています。

http://muranomirai.org/

わたしは認定ファシリテーターではなく、今回ひらいた勉強会も非公式のものですが、事前に事務局に連絡して、開催の許可をいただいています。

 

テキストはこちらで購入できます。

http://amzn.asia/d/eDWtLu1