ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

初夏の根津美術館、「はじめての古美術鑑賞」

根津美術館に行った。東京・南青山にある私立美術館。

 

 

企画展「はじめての古美術鑑賞」が開催中。2016年からはじまって4回目とのこと。


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日本美術の時代ごとの変遷と個々の作品の見所をわかりやすく教えてくれる。

友だちと、感想を話しながらまわっていくのも楽しい。

隠者萌えとか隠遁生活への憧れとかあったんだろうなーとか、
KITKATみたいな縁起物とか、
伝言ゲーム状態になってもはや原型はわからない謎の動物とか、
藝大美術館で観た雪村(せっそん)の寒山があるー!とか。

 

点数もほどよくて、よかった。

 

水墨画の、墨と水と筆と紙とのコンビネーションで描いていく一発描きの世界ってほんとうにすっごい。

 

こういう、しゃっしゃーって描いたのが、船と人とかさ。


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「古美術」という言葉だけ聴くと、商いの趣きがある。値付けはどうやって決まる?とか、なんとなく売買、流通な感じ。その世界もちょっと聞いてみたいなぁ。

 あるいは、なぜ日本の美術品は海外に流出してしまったのか?とか。

 

 
3階展示室3の殷の時代の青銅器を見てたら、なんか気持ち悪くなってきた。
文様がめっちゃ妖しいの。双頭の羊とか。
寒いとか暗いとかあったかもしれないけど。
科博かトーハクかで、マヤ・アステカ文明の展示を見てたときになった感じと似てる、背筋がぞくぞくするヤバさ。ひえー。
 
 

展示室5にあった、根津さんがひらいてたお茶会で使った書画に、大津絵の「鬼の念仏」があってうれしかった。

もともとは二束三文の民画であったのを、布をコラージュしたみたいな表装を施してかわいくして、上流階級の方々のお茶席にかけるっていう、そのギャップが可笑しかったり、でも愛がある感じで。よかった。

 

今、たまたま見ていたページに、

大津絵に糞落しゆく燕かな   蕪村「蕪村句集」

という句が出てきた。笑い。

 

 

お土産。この本『マンガでわかる「日本絵画」のみかた』よいです。コマ割り漫画ではなくて、絵入り解説みたいな感じ。絵柄や絵のタッチが好きで、理解がすすみます。

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根津さんについてよく知らなかったのだけれど、初代根津嘉一郎さんは、政治家、実業家、鉄道王東武鉄道南海鉄道の創設に携わる)、そして「茶人」。

そうか、こういう人を茶人というのか!!

 

 

根津美術館は、「国宝、重要文化財を多く含む日本・東洋古美術約7400件のコレクションを、年7回の展覧会」......トーハク並みのお宝を多数お持ちです。すごい。

 

所蔵品のひとつ、尾形光琳の「燕子花図屏風」(国宝)をイメージしたお香がとってもいい香りです。色もきれい。売店で買えます。


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広い敷地は、木々がわさわさしていて、初夏の光にきらきら輝いて、それはそれは美しかったです。


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