2年ぶりのおすすめ書籍の紹介です。
他の記事で紹介している本も基本はおすすめばかりですが、わたしの仕事に関連した実用的で役に立つ本は、【おすすめ書籍紹介】とタイトルにつけて、たまに思いついたときにご紹介していこうと思います。
さて、前回は会議のファシリテーションについてのおすすめ本でした。詳しくはこちら。こちらの、一対一の対話型ファシリテーションについての本もおすすめです。
今回はこちらです。
『お客様が集まる!士業のための文章術』小田順子/編著(翔泳社)
この本は、昨年、自分の本を書いているときに「文章の書き方」や「言葉の使い方」のテーマで探している中で見つけました。わたしが、「書き手の無意識の差別や偏見、思い込みや押しつけに注意を払いながら書いていかねば」と覚悟した頃です。
非常に先進的で普遍的な内容です。
帯文にある、
・専門用語は先回りして説明する
・使っちゃいけない士業独特の言い回し
・好印象を与えるメールの書き方
・ウェブ文章は「Youメッセージ」で
など、士業でなくても、誰にでも関係あることばかりではありますが、「士業」と限定されることで、他の仕事の方にとっても具体性が出て参照しやすくなります。士業の方にとっては「あるある」のオンパレードではないかと想像します。
あるコミュニティでは当たり前に使っている言葉や言い回しが、外のコミュニティや業界では通じないことは往々にしてあります。擦れ合って「通じない」「誤解が生じた」などの事態が発生しないと気づけないことも多いです。
直接指摘されるのが一番ですが、そういう良いお節介をしてくれる人がいないと難しい。自分からオープンになって学んでいくしかない。この本で、「もしかして運営がうまく行っていないのは、自分のウェブサイトのこういう部分がわかりにくいのかも?」などと、思い当たれるといいですね。
わたしはもちろんたくさん思い当たりました。うぐぐ。。「やさしい文章で」「漢字を少なく」「専門用語は解説」は、頭ではわかっているし、何度も指摘もされてきたのだけれど、ついやってしまう。
複数人で運営しているチームや組織で発信するときは、リリースするときにチェック機能を置くことでトラブルや誤解を防げますね。ガイドラインの設置とダブルチェック、トリプルチェックの大切さも感じます。
この本で一番わたしが素晴らしいと思っているのが、巻末付録の「士業として使わないほうがよい言葉の言い換え集」。
すごいです。ここだけのためでもいいから買ってほしい。
そのくらいの価値があります。
士業だけでなく、大人だけでなく、10代の人たちも知っておくといい。
特に「差別語・不快語」を言い換える項がすごいのです。
「入籍する」「帰国子女」「キャリアウーマン」「女流」はそれぞれ、
「婚姻届を提出する・結婚する」「帰国児童・帰国生徒・帰国学生」「ビジネスパーソン」「"女流"はつけない」と言い換える。
具体的な言い換え例を示してくれている上、その理由も冒頭に簡潔に書いてあります。
発刊された2013年当時はまだ、「なぜその言葉を使ってはいけないの?」と言われそうな言葉も多くあったと思われますが、本という形でハッキリと示してくださったことはありがたいです。
今となっては当たり前にNGな言葉も多くなっています。社会はよりよくなっている!
人権、倫理に関わる言葉だけでなく、漢字/ひらがな、常用外、固い/柔らかい接続詞や副詞など、表記上のアドバイスもたくさんあります。
それでいて、読み手や受け手を見下げるような表現にはならない、パブリック、オフィシャル、ビジネスライクに「きちんと」「正確な」伝え方も伝授してくださっています。
どの項も具体的で事例が多くて、素晴らしいです。おすすめ。
報道ガイドラインもいくつか挙げました。
これらも広い世界に向かって書く、話す、発信するときの参考になります。
薬物報道ガイドライン
いじめ報道ガイドライン
おまけ:場づくりに関してわたしが以前に書いた記事もご参考に。
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