ひととび 〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

マレーシア・イスラーム美術館精選 特別企画 「イスラーム王朝とムスリムの世界」@東京国立博物館 鑑賞記録

 わたしがイスラームに出会ったのは、中学生の頃。

INAX出版から出ていたタイルの本だった。この青に衝撃を受けたので、明確に覚えている。

イスラームのタイルー聖なる青』(INAX出版, 1992年) 

 

 高校のときに、友達が貸してくれたこの本も忘れがたい。

イスラーム文化−その根柢にあるもの』井筒俊彦/著(岩波書店, 1991年)

 

20年前、東京で暮らすようになって、初めてモスクに足を踏み入れた。

tokyocamii.org

 

それからも少しずつ少しずつ、いろんな形で、イスラームへの関心は途切れず続いている。

あ、そうだ。このシリーズもすごくいいのでおすすめ。4冊ぐらい出ていたと思います。

イスラームのおしえ』(イスラームってなに?)後藤絵美/著(かもがわ出版, 2017年)

 

まぁ、イスラームとか、ムスリムといっても、切り口は星の数ほどありますね。

身近な人から関心を持つ場合もあるし、こうして美術から入ることもあるし。

  

ということで、やっと本題。

 

昨日、東京国立博物館で開催中の「イスラーム王朝とムスリムの世界」展に行ってきた。

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マレーシアと言えば、一昨年から追いかけているヤスミン・アフマド映画を思い出す。マレーシアのマレー人(主にムスリム)と華人やインド系タミル人との共生について描かれた物語が多い。

マレーシア・イスラーム美術館の全面協力を得ることで、特定の国家や地域によらない、世界規模のイスラーム美術の展示が実現しました。

とのことで、非常に横断的な展示内容になっているのが特徴。東洋館の地階フロアの4/5ぐらいのスペース。そういえばこういう編集の仕方をされた展示って見たことがなかったかもしれない。今まで見たものは、一時代にフォーカスされていたり、別の主軸があってそこに対するイスラームの影響のような形の展示が多かったかな。

 

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思い出したのはこちらの展覧会での記憶。これ行って、じっくり見ておいてよかった。

hitotobi.hatenadiary.jp

 

こちらの本もおすすめです。陶磁器やクルアーン写本のことも載っています。図版満載で見ているだけでうっとりしますし、それぞれのテーマの概要を知るにもいい。

『ペンブックス30 アラブは、美しい』 ペン編集部/編(CCCメディアハウス, 2020年)

フリット胎土

12世紀頃には、ガラスの原料となる石英と粘土、釉薬の粉を混ぜた人口胎土が開発され、比較的薄くて白い陶器がアラブ地域全域でつくられるようになる。(p.69)

ラスター彩

独自に開発された陶器技法に、ラスター彩がある。ラスターとは英語で「輝き」を意味し、表面の彩描部分が金・銀・同色に輝くこの技法は、もとはガラス装飾のために開発されたという。

中国の焼き物への憧れや、キリスト教とは違う、イスラームならではの信仰と結びついた美の捉え方などにも触れていて、興味深いです。

 

映画『陶王子 2万年の旅』これのおかげで、展示が楽しかった。

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やっぱりいいですね、東洋館!久しぶりに来ると、展示内容もすこーしずつ違っているので、いつも新鮮です。イヤホン持っていって好きな音楽を聴きながら観るのが好き。非日常空間に飛べます。

 

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年間パスポートが切れていたので、友の会に入りました。これでまたしょっちゅう、フラッと行ける。日時予約は必要だけど、総合展だけならけっこうパッと予約できるので。企画展のチケットが3枚ついていて、売店での割引などもあるので、企画展を毎回チェックする人はぜったい友の会がいいと思う!

その日に申し込めます。事前にネットで無料の日時予約しておいて、当日窓口で入会したらすぐ有効です。(トーハク推してます)

東京国立博物館 - 東博について 会員制度、寄附・寄贈 会員制度

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※追記(2021.8.1)

王朝の特徴や変遷、エリアについては、行ったことがない土地だからなのもあり、パネル解説がなかなか頭に入ってこない。
世界史の資料集をめくってみたりもするけれど、これもいまいちで。何かよい書籍があれば、

こういうの↓ が頭に入らないやつですね。テストのために暗記したいわけじゃない。自分なりに流れを掴んで、自分が理解できるように体系立てたい。

kou.benesse.co.jp

 

こういうのを観たらよいのかもしれない?少しずつ観てみます。

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こちらも参考になりそう。

「世界史B授業実践例:イスラーム世界の変容をどう教えるか」(PDF資料)

https://www.teikokushoin.co.jp/journals/history_world/pdf/201401g/08_hswhbl_2014_01g_p12_14.pdf