7月上旬、映画『カタブイ 沖縄に生きる』を観た記録。
▼公式HP
https://kukuruvision.com/katabui/
▲写真はパンフレット。シナリオが採録されているので、いろんなお話が何度でも「聴ける」。ありがたし。
▼印象に残る箇所、その他の感想
・琉球舞踊の方のインタビューが興味深かった。「基本的に琉球の芸能は癒やしだと思います」とのくだり。「あ、これは能だ!」と思った。能には敗者や亡者、弱者を悼む面がある。琉球舞踊のゆっくりとした舞や唄、三線は瞑想的で眠くなる。
・「でも何度も見ていると、見所があり、山場があり、流れがあるから、楽しんでくれれば」というあたりも本当に能!
・社会のルールのゆるさ(てーげー)や、死者の弔い方、先祖の祀り方は、台湾映画で見聞きしたり、台湾在住の方の発信で見ていたものが近い。ウチカビ(あの世の貨幣)は台湾の「金紙」と同じだ。http://www.kansaiartbeat.com/kablog/entries.ja/2016/08/taiwan_vol1.html
風土としては、ヤマトより、台湾のほうがずっと近いんだろうなぁ。
・「今日、基地は島の1/5を占める。何キロも続く鉄条網
島を分断する」
・高江のヘリパッド建設地周辺、反対派の年配者の演説。「私は今年で八十四歳になりました。十歳の時に沖縄戦で鉄血勤皇隊として駆り出され命だけは助かりました......(後略)」
・「1879年日本に併合。日本の言語と文化が押し付けられた」
・「国のプロパガンダが招いた悲劇。Suicide Criff での集団自決。
・「なぜ支配されながら、抵抗できるのか?」
・「attachment, secondary city」「彫刻でしか抵抗できない。テロは許されない、彫刻は正統な理由だ、表現だ」話している間も頭上を飛ぶ軍用機。
・「自分たちが今生きてるんだから、命のお祝いをしましょう」
・介護施設でも踊りがある。立てない人は手だけでカチャーシー、口笛、太鼓。共通の身体に刻み込まれた踊りや歌やリズムの文化があるのはすごい。流行歌とは違って、土地に由来する音、音楽。
・「人の死は特別なものじゃない」「だから思う存分接する」
・「(琉球空手では)むやみに手を出さない。人に道を譲る。気持ちを述べる気持ちと我慢する気持ちが養われる」空手のルーツが琉球にあったとは知らなかった!14世紀の沖縄で秘術として行われていたものが、20世紀になって本土に伝わった説があるそう。
・「基本になるのは祖先崇拝。その感謝の祭を古い時代からずーっと続けている。一つの仏教や神道ということではなくて。特に沖縄は道教や儒教も入っている。いろんな宗教が混ざり合って現在の信仰もある」
遠いご祖先ウヤファーフジ
・お盆の夜のエイサー。数日前にりゅうちぇるのこのツイートを見ていたから、ああこの感じなのかな、と想像しながら見た。
東京にいても心の中に沖縄が生きてるの。多分これからもずっと。夏の暑い夜になると公民館から聞こえてくるエイサーの音、お母さんの作るポーク卵、家族で方言でお喋りしたり喧嘩したり、常に今を感じながら生きている心の綺麗なお友達、あんなに離れたかったふるさとの良さに今頃痛いほど気付いてるの
— ryuchell❤️🔥 (@RYUZi33WORLD929) 2021年6月26日
・家族の絆。それが苦しいこともある。それが互助になることもある。
・基地はきょうもあるし、事件はきょうも起こるかもしれない。政治的な問題は遅々として進まない。だけど、沖縄は、それだけではない。一人ひとりの人生があって、人と人との間では友情もあるし、音楽や芸術で出会える。ほんの数十年の何かに覆されることのない歴史があって、それらは変化していくかもしれないけれど、継ごうとする人がいる限り続いていく。そして、そういう人たちのかけがえのない生の営みがあるからこそ、決して暴力で損なわれてはならないのだと思う。
映画を観ると、てぃんさぐぬ花」を何度も聞きたくなる。ポスタービジュアルにも出ている糸満盛彬さんが好きだった歌。
親や先祖を敬う精神性がリアルに生きている歌。
▼てぃんさぐぬ花
▼監督インタビュー記事(2017年2月)
沖縄を見つめたスイス人監督の作品、「カタブイ KATABUI ~沖縄に生きる〜」
▼ダニエル・ロペスさんの出演作品があった!
『ココロ、オドル』岸本司監督(2019年, 日本)