ひととび〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

本『押井守監督が語る映画で学ぶ現代史』『映画の声』『アナーキー日本映画史』記録

昨年から加速度的に1950〜1960年代の映画に出会うことが増えた。
この3冊は仕事の準備のために読んだ。

 

 

印象深かった箇所引用『押井守監督が語る映画で学ぶ現代史』より。

「忘れたいものがある」から、そのためにテレビをみよう、映画を見よう、という人が多いんだろうけど、見る側はともかく作る側がそれじゃダメなんだよ。

観客には「自分が抱えている不安を、具体化、形象化してほしい」という気持ちがどこかに必ずあるからだよ。(p.13)

 

(※『世界大戦争』について)だけど今観ると、当時の日本人がどういう生活意識を持っていたのか、どんな願望を抱えて生きていたのか、すごくいろんなことを思い出す。かつてそういう時代があったんだっていうことだけじゃなくて、実は今もたいして変わってねえじゃん......というのが、僕のとりあえずの結論。(p.33)

 

そういう現代ヤクザものという映画シリーズで何をやったかというと......当時の批評家たちがよく語ったんだけど、要するにヤクザの世界を借りて「日本の戦後」を語ったんだよね。

「戦後日本の近代化路線と、それについていけない人間たち」という構図だよ。どんどん近代化していく日本の中で、行き場を失った人間たちの生き様みたいなもの。(p.137-138)

 

 

1950年代〜1960年代の日本映画を見るのは、タイムカプセルを開ける感覚に似ている。私の知らない日本。けれど、今もある何かを観に行く感覚。

そこでは日本の戦後が様々な形で語られている。暴力、性、貧困、格差、差別。

「今、問題になっていることは、すでにこの時代に提起されていたのか」と驚くことがある。

 

大きな価値転換のあった後に、それを人々がどう受容したり、拒絶しながら生きてきたのか。人間をどう分類し、どう扱ってきたのか。何を笑い、何に興奮し、何にときめいたのか、映画が示してくれている。

私が今これらを観ることは、当時の人々に出会うことでもあるし、自分がどんな時間の延長上に立っているかを確認することだし、今の社会を再考することにつながることでもある。

また、これをリアルタイムで観ていた人たちが上の世代にいて、社会の構造を作ってきたのと理解することでもある。

相互理解のために、共生のために、対話のために。

 

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 2020年12月著書(共著)を出版しました。

『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』(三恵社