練馬区立美術館の『小林清親【増補】サプリメント』展を観た記録。
最後の浮世絵師と呼ばれた小林清親。
2015年の小林清親展を機に寄贈等で新規に収蔵した作品、遺品を【増補】として公開している。
下図や写生帖、肉筆画が多くて、戯画、戦争画など、私は初めて見るものばかり。
・ゆるっとした絵は漫画、図案、デザインにも通じるものがある。
・戦争がは取材せず、参考図もなく描かれているそうだけれど、その割にはめちゃくちゃくズレてはいないように見える。どうやって描いたんだろう。写真を見たんだろうか。
・もう一人の「最後の浮世絵師」月岡芳年も真っ青の迫力の物語画。
・ポスタービジュアルにもなっているアラビアンナイトの模写。1883年(明治16年)に刊行された『全世界一大奇書』というアラビアンナイトの訳本の挿絵を清親がしているらしい。こちらも見たい。
・写生帖と錦絵の下図が並べて展示されていたのもよかった。写生帖で描いた要素を分解したり、他と組み合わせたり、昼夜・天候を入れ替えたりして下図が描かれているのがよくわかる。写生帖と下図だけでも十分に「作品」としてすばらしい。
江戸から明治へと変わりゆく東京の風景や事件など、ジャーナリスティックななまなざしの作品を多く観てきて、それが「清親風」と自分の中でイメージがついていたので、今回の展示は意外の連続だった。
下の階ワンフロアだけの展示だけど非常に満足。
逆にこのくらいコンパクトに、クイックに見られる展示があってもいいよね。
しかも無料。太っ腹!
寒い日に春の桜などの暖かい季節の絵を見るのは、思いがけず穏やかな気持ちになれた。
練馬区立美術館のtwitterで見どころをツイートしてくれています。
【小林清親展から】
— 練馬区立美術館 (@nerima_museum) 2021年12月31日
鍾馗さんが鬼の首根っこを掴み上げる戯画。鬼にたとえられる“魔”や凶事を祓う存在として、鍾馗の図は端午の節句に子供たちに災難や疱瘡(天然痘)などの病が降りかからないよう、願いを込めて飾られました。疫病退散、来年こそは平穏な1年でありますよう。
(学芸員 加藤) pic.twitter.com/1ibb6jOFrc
【開催中|小林清親展】
— 練馬区立美術館 (@nerima_museum) 2021年12月24日
九段坂の常夜灯(高燈籠)は現存する数少ない建造物。東京湾を行き来する船の目印にもなっていたというから驚きです。画面は奥へと下っており左が靖国神社なので、現在とは道路を挟んで反対側に位置しています。道路拡張工事に伴い移設されたそうです。
(学芸員 加藤) pic.twitter.com/bMgzAhS0Af
【開催中|小林清親展】
— 練馬区立美術館 (@nerima_museum) 2021年12月20日
産湯につかる姿に始まった《清親自画伝》は、清親青年が新政府軍の藩士に理不尽に殴られたり、江戸城開城の後始末に奔走したりする描写で終了。同じ帳面が白紙のまま三冊遺されていますが、絵師となる過程やその活動については、残念ながら記されることはありませんでした😢 pic.twitter.com/1msQXr3sXd
【開催中|小林清親展】
— 練馬区立美術館 (@nerima_museum) 2021年11月27日
小林清親の肖像②
清親は絵師になる以前の前半生を《清親自画伝》で描いています。この自画伝を書いたのが、1913年(大正2年)清親66歳の時です。速筆なのに、この描写力! pic.twitter.com/Zxyt0J0A28
【開催中|小林清親展】
— 練馬区立美術館 (@nerima_museum) 2021年12月12日
小林清親の肖像
若き清親、20代後半頃の写真です。日本最初期の写真家下岡蓮杖が撮影したと伝えられています。2メートル近い大男だったことがうかがえる風貌です💪
本展ではガラス湿版ととともに展示しています。 pic.twitter.com/J2bBU2Gel2
2015年のときの図録/書籍
きのう練馬区立美術館で観たようなものも載っていたので、おさらい。
もともと一箱古本市に出してみたら人気ですぐ売れてしまい、急に惜しくなって自分用に買いなおして今、手元にある。
何をやっとんねん、ということが一箱古本市ではよく起こる。起こるんだよ……たぶん。
太田記念美術館のnote記事。なるほど!な視点。
NHK大河ドラマ、#青天を衝け は本日(12/26)が最終回。#渋沢栄一 が小林清親とすれ違っていたかもしれないというお話です。https://t.co/jHvAiWCiL7
— 太田記念美術館 Ota Memorial Museum of Art (@ukiyoeota) 2021年12月26日
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