ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する場づくりを通して考えることなど。

映画「スリー・ビルボード」がよかった話

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*鑑賞行動に影響のある内容です。未見の方はご注意ください*

 

ちょっと前、3月。まだ寒い時期の話。

開業して初のお仕事でいただいたお金をにぎりしめ、郊外の映画館にモーニングショウを観に行った。友だちとあーだこーだ話そうねと約束していて、観終わった後に90分、映画の感想だけをガッツリと話した。

こんな幸せな循環があるだろうか(いやない)。

 

感想を徒然と。

・・・

  • フランシス・マクドーマンド、「ブラッド・シンプル/ザ・スリラー」「ファーゴ」を思い出すね、やっぱり。彼女がいてくれてほんとよかったもん、あの映画。今回の監督がこの二作を意識していないはずがなく、そこかしこにオマージュを感じる映画だった。
  • 他に「フライドグリーントマト」とか「エリン・ブロコヴィッチ」を思い出したりもした。でもあれらの映画とは違って、主人公の心中はあまり語られなくて、むしろ彼女の周辺にいる男性たちのほうに共感してしまうような描かれ方だった。主人公は狂言回しのような存在なのがおもしろい。
  • ディクソンの悼みと自立の物語なのかも。署長が父親がわりだったのかな。その点ではミルドレッドの息子の話でもあるようにも思う。他の登場人物に視点を移していくと、それぞれが見ている世界の唯一さが光って見えるようだ。違いの差分というより、ほんとうに違う世界を生きている。キャラクター一人ひとりに丁寧な設定があるのがわかる。
  • 山あいの小さなまちの、すべてがまちの中で完結してしまうあのどこへも行けない息苦しさ。あっという間に噂の回る、どいつもこいつもろくでもない、常識が通じなくてイカれてると頭をかきむしりたくなるような鬱屈とした感じ、あーこういうのよく知ってるわとうなずいていくうちに、いろんなものがどんどんぶっ壊されていく。時に軽妙。
  • 主人公は、いろんなろくでもないものと闘っていて常にファイティングポーズでいるのだけど、マイノリティ的な立場の人といるときはフラットに接していられているよう。看板を設営するメキシコ人の男性、セクシュアルマイノリティの警察官の男性、身体に障害のある男性、お店のスタッフの黒人女性。
  • それからどうしてもキーになってくるのは、銃の問題。
  • 不思議と食事のシーンが少なく、あっても食べ物が映らない。ゆっくりコーヒーを飲んだりもなく、ボーッと考え事をするちょっとしたカットさえも短く、すぐに次の出来事が起こって転回/展開していく。なんとなく、今の時代のスピード感なんだろうなと思う。

 

・・・

 

そんな感じ。

 

この日の前後に、アカデミー賞の授賞式があり、フランシス・マクドーマンド主演女優賞、サム・ロックウェル助演男優賞とのこと。おめでとうございます。

 

一緒に観た友だちが、映画を観ながらメモをとっていて、それに沿って感想が話せたのですごくよかった。傍目には書きながら映画を観る?集中できないのでは?と思ったけれど、「ちはやふる-結び-」で真似してメモをとってみたら、わりといけた。というかむしろ味わいが深い。そんなことも教えてもらえてよかった映画でした。

 

 

▼ブラッドシンプル/ザ・スリラー公開当時(1999年)のチラシ。
 この映画、すごく好きなんだけど、好きすぎてもう観られない気がしている。
 チラシだけ大事にとってある。


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