ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

ロイヤル・バレエLV「コッペリア」鑑賞記録

久しぶりの、今年はじめての、ロイヤル・バレエのライブビューイング。

 

英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマシーズン
イギリス、ロンドンのロイヤル・オペラ・ハウスの公演を、最寄りの映画館で、迫力の映像と音響、解説とインタビュー付きで観られるという夢のようなシステム。

 

久しぶりも久しぶり、昨年8月の「ロミオとジュリエット」以来でした。
あの公演もほんとうによかったなぁ。こちらに書いたのでよろしければ。

 

今回の「コッペリア」は、わたしはまったくノーチェックだったのだけれど、「人形役が出てくるから、せいこさん、好きなのでは?」とおすすめしてもらった作品。

先に観に行った友人からも「東欧の民族衣装風のコスチュームが、せいこさん、たまらなそう」とおすすめいただく。

人形と民族衣装、その二つはたいへんヤバい!!

 

その上、出演は、昨年参加した「白鳥の湖を観る会」で観た「白鳥の湖」のカップリング。
マリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフ!!

いやはや、これは観るしかない。観ない理由がない。

 

ということで、行ってきました、TOHOシネマズシャンテ。

2019年12月10日の公演の収録。このLVは27カ国、1,117館で上映とのこと。


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コッペリア」と今回の舞台の特徴についてはこちらに詳しくあります。

tohotowa.co.jp

 

 

以下はいつものように、わたし個人の感想や印象をダラダラと書いたものです。

※LVを観る予定で、詳しく知りたくない方はご注意を。

    • スワニルダ役のヌニェスとフランツ役のムンタギロフの今、この最高のパフォーマンスに立ち会える幸福。人形(劇)と民族衣装、わたしの二大好物がやはりよい。
    • 一番はじめに出るロイヤル・オペラ・ハウスのキャッチコピーが"FEEL SOMETHING NEW"なの、ほんとそうだな!と思う。観るたびに新しい感情を知るし、新しい体験をする感じ。 
    • あらすじだけおさえて、あまり予習もできずにダイブ!したけれど、相変わらずロイヤルバレエLVは至れり尽くせり。予習していなくてもとにかく来れば大丈夫なように解説やインタビューで気持ちを盛り上げていってくれる。ありがたい。どんな役割の人が、どんな思いで、どんな専門を持ってこの舞台を作り上げているのかを見せることで、観客も一緒に作るプロセスに関わらせてくれているようだ。
    • 作品自体は1870年パリで初演だが、ロイヤル・オペラ・ハウスでの公演は、創設者ニネット・ド・ヴァロア版というところに重要な点を置かれている。10数年ぶりの再演。「バレエ団の財産に注目している」時期ということ。ヴァロワはダンサー、振付家、芸術監督。1923年にディアギレフのバレエ・リュスにダンサーとして参加していた時期もある。2001年に死去。英国ロイヤルバレエ団の歴史は辿ってみるとけっこう複雑。。
    • 「クリスマスにぴったり」という言葉通り、美しく楽しいおとぎの国。東欧風の民族衣装に、幻想的な人形の動き。音楽もノリノリ。何もかも忘れてこの世界に浸ってよし!日本で1月に見るのもおめでたい感じでよい。
    • ホフマンの原作「砂男」は「サイコ・ホラーの元祖と呼ばれる、恐怖と戦慄に満ちた傑作」ってそんな?!もしかしてこのバレエにも毒々しさが混ざっているのかと思ったけれど、そうでもなかった。コッペリウス博士は冴えないおじさんで、若い女の子たちにからかわれる悲哀もあったけれど、概ねふつうに笑える感じでホッとした。美しい女性の人形を作って愛でてるって、ハラハラする感じではあるよね。。
    • 「人形をつくって命を吹き込む」ピノキオとか、ファイブスター物語のクローム・バランシェとか思い出した。他にももっとありそう。このテーマは普遍なんだろうな。
    • 「もともと人間にできないことを人形にやらせようとして作ったのに、その人形の模倣を人間がする」っていうのもまた普遍的で興味深い。そういう話をちょうど年末に早稲田の演劇博物館で見たところだった。ちなみに歌舞伎には「人形振り」という技法がある。https://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/contents/learn/edc11/sakuhin/gihou/p1.html
    • わたしの数少ない鑑賞体験の中で最もコミカルでキュートな演目。こういうバレエもいい!!オーケストラの出だしだけで幸せな気持ちになる。演奏者もダンサーも、演じている人たちがずっと笑顔。シリアスな物語も好きだけど、こういうのもいい。技としては高度でキツいんだろうけれど。こちらには楽しいエネルギーだけがいっぱいに伝わってくる。
    • LED譜面台灯の登場って、オーケストラピットも快適にしたのかなぁ、と思いながらピットの映像を観る。
    • ムンタギロフ演じるフランツは、明るくてオープンマインドな生まれながらのイケメン。何をしてもまったく嫌味がない。ピュアな人物として演じることもできるだろうけど、堂々とイケメンを生きてる感の表現がよかった。袖がワイドでひらひらしてる服がめっちゃ似合う。
    • スワニルダみたいな同級生いたなぁ(ちょっと苦手...)と一瞬思ったし、解説でも"bossy(仕切り屋) and cheeky(生意気)"と表現されてたけど、やっぱヌニェスがキュートすぎて、むしろ好ましい!「思いついた!」ってなるときのやんちゃな表情がめっちゃかわいい。とはいえオッサンいじめすぎ?冒頭のインタビューで言っていたように「自分で人生を切り開く」「自分で物語を回していく」キャラクターなんだな。女子高の生徒会長みたいな?頼りにされているし、仲もいい。
    • スワニルダの存在感が大きくて、フランツはほんとうにサポートって感じ。アナ雪的な構造も今っぽい。
    • コール・ド・バレエのダンサーをフィーチャーしてたのもよかった。なかなか話聞けない。前々から思っていたけれど、群舞でも呼吸を合わせることは大事にしているけれど、マスゲームやシンクロナイズドスイミングのように一糸乱れない様を表現しているのではない、適度にバラバラしてるのが、人間味があって好き。1人3役、4役こなす。17:30までコッペリアの練習をした後、2時間後には白鳥の湖の群舞に。公演中に次の公演の練習をするのかー!なんというタフなお仕事!!!
    • ソロパートでじっくり見られる足さばき、腕の表現、そのコンビネーション。笑顔でふわっと何気なくやっているようだけれどすっごい難しそう。円環や人間が表現できる流線型の究極を目指しているという感じ。
    • 初演当初はフランツも女性が踊っていたらしい。
    • 「舞台のたびにダンサーが変わるのに対応するのは大変ですね」の質問に、「それこそが醍醐味。いろんなキャストを楽しんでいます。毎日少しずつ違う。同じキャストでも。耳で聴けるオペラと違い、自分にしか見えていないから自分が調整するバレエはおもしろい」と指揮のバリー・ワーズワース。「お天気やニュースや曜日によっても観客の関心や熱狂は違う」
    • 人形として、どーんと体の力を抜いてあずけきるの、あらためて、すごい。わたしこれ演劇のワークショップでやったことあるけど、めちゃくちゃ怖かった。ということを観ながら思い出した。
    • フランツの魂をコッペリア人形に吹き込んで(ここも胡散臭くて笑える)、動き出したときに人形に鏡を見せる博士。「お前もそれを望んでいたんだろう?よかったなぁ」と言いたげ。泣く博士。散々スワニルダに翻弄された後に、2幕の最後で裸のコッペリア人形を抱いて泣くところ。。悲哀。。どういうご事情があったのかしら。
    • ギャリー・エイヴィスのコッペリウス博士も最高。人間嫌いゆえに人形作ってる?的な偏屈さ、やばさもある。でももうエイヴィス以外のコッペリウスは見たくないってぐらい好きになっちゃう。ヌニェス、ムンタギロフ、エイヴィスの3人の演技とバレエの技術を味わえて、お腹いっぱい。
    • バレエを観たあとは自分の所作を美しくしたくなったり、やたらと踊りたくなる。踊ることが幸せでたまらない、という人の舞台。オペラのあとはなんでもかんでも歌いあげたくなる。影響されて日常に侵食するこの感じがたまらないのよね。美にふれる、心を動かす、鑑賞することの醍醐味なんだろうと思う。
    • ヌニェスとLV司会の女性(名前がわかんない、ごめんなさい)が、プリンシパルの指揮を務めるメール・パークを訪ねるインタビューパートもよい。19年前、ヌニェスがスワニルダの友人役で登場していたときのプリンシパル吉田都!!!メール・パークもかつてロイヤルで活躍したプリンシパル。「あなたたちの時代の知識を技を次世代として吸収し、継承したい」とヌニェス。みんなこの伝統と歴史を背負って踊っているのだな。ロイヤルバレエ団もだし、バレエ世界もだし。
    • インタビューのパートって尺が決まっているから、台本通りに進行するのが大変そうで、いつもハラハラしながら見てる。インタビュイーがしゃべりすぎると途中で介入しないといけないし、「あ、今途中で切り上げたな」ってわかる。いろいろお話してくれてうれしいけど、ドキドキする、、
    • 第三幕ひたすら祝祭。合間のコール・ド・バレエでインタビューされていたダンサーたちを見つけたりして、うれしい。ライブビューイングならではの楽しみ方。
    • すごい人は踊っている感じがしない。人間は鳥になれるんだなぁ。。浅田真央の選手時代の一番脂ののっていた時期のスケーティングがそんな感じだった。バレエの素地があるあのスケーティング、ほんと美しかった。
    • 「祈り」、ただただ美しい時間。聖なるもの清きもの。踊りを次々に奉納するようなシーン。合掌しているから余計に。
    • こんな美しい世界、楽しい時間が終わってほしくなーい!と思いながら観ていた。
     

 

 

▼いつもお世話になっている本。

今回は、「コッペリア」「コール・ド・バレエ」「ニネット・ド・ヴァロワ」「英国ロイヤルバレエ団」などを調べました。

 

▼読みたいような、怖いような、の原作。

 

2019/2020 のシーズンは、どれも観たい、観なきゃと思うラインナップばかり。

バレエやオペラを観たことがない方にとって、3時間〜4時間の鑑賞ってキツいなぁと感じるかもしれない。でも、解説や休憩も挟みながらだし、飲食しながらも観られるし、シネコンはだいたいいいシートだし、トライしてみてほしいなぁと思います。

①誰かと行くこと、②予習すること、③感想を話すこと、

この3つでぜったい楽しい。

生で観に行く前に、デビューに、とてもいいと思います。

tohotowa.co.jp

 

 ライブビューイングについては、こちらも備忘的に。

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周りにオペラ好き、バレエ好きな人がいたら、「鑑賞ツアー」としてやってもらうのもいいですね。

ご自身がオペラ好き、バレエ好きでもし友だちを誘いたい、この良さを広めたい、鑑賞ツアー・イベントを主催したいなら、場づくりコンサルティングもぜひご利用くださいませ^^

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