2020年の鑑賞納めは、12月30日、NTライブの『シラノ・ド・ベルジュラック』。
いやはや、いやはや、、観てよかったよ。
気にはなっていたのだけれど、他の鑑賞を優先させてきて、これはもういいかな〜と諦めてかけてた頃に、たまたま桜庭一樹さんのこのツイートを観てしまった。
昨夜は、ゲラを提出し、ナショナルシアターライブの『シラノ・ド・ベルジュラック』(ジェームス・マカヴォイ主演)の最終上映へと走りました。…すごく面白かった!! シラノが「プライド」の高さから身動きが取れない人間であること、相手のためを思う「純粋さ」は…(続)https://t.co/asSyvVLhvt pic.twitter.com/DzqUbgrY7T
— 桜庭一樹 (@sakurabakazuki) 2020年12月17日
…あることが伝わってきて、古典に出てくる昔の人じゃなく、普遍的かつ今の人間になっていました。ヒロインのロクサーヌも、原作だと受け身のところ、主体があっで引きこまれました。シラノの秘密に気づいて許して受け入れるはずのラストシーンでは、「貴様、何だ!?」と原作にはないマジギレ!(続)
— 桜庭一樹 (@sakurabakazuki) 2020年12月17日
…なにより、ロクサーヌ側を柱とした、「恋とは幻想なのか?」という結論も最後に強く打ち出されていてよかった。やはり現代の古典の再演には、〝内面が深く描かれていない女性の登場人物を生身の人間としてどう生まれ変わらせ、物語も換骨奪胎させるか?〟が必要不可欠なのだとまた思いました。(続)
— 桜庭一樹 (@sakurabakazuki) 2020年12月17日
…ルッキズムの問題にも言及しているし、シラノとライバルのクリスチャンとの間に一瞬流れる〝愛のような何か〟の演出にも、驚き、それから、あぁこれは必要だ、と納得しました。つまり傑作で、シラノといえば映画の影響で長年ジェラール・ドパルデューの顔だったのが、昨夜から急にマカヴォイの顔に。
— 桜庭一樹 (@sakurabakazuki) 2020年12月17日
こんなのを読んじゃったら、「やっぱりこれ観なあかんかも」となるでしょう!
友達を誘って最終上映日に駆け込み。
アイデンティティ、ジェンダー、セクシャリティ、民族、障害......。
偏見、差別、コンプレックスをぐりぐりと刺激してくる。
ルッキズムを止められない自分とか。
外見と知性と社会的立場、関係あるの?ないの?
それとこれとを分けるものは?わたしはこちら側?あちら側?分けられるの?
ボーダーを簡単に崩していく。
力強く、セクシーで、美しくて、儚い。残酷で優しい。
名セリフも多い。
性別は流動的(fluidity)。
わたしはその才能を伸ばす手伝い(facilitate)をしているだけ。
韻は伝統的なお菓子。みんなが喜ぶから。
月で飲む朝のコーヒーは美味しい。
Extreme is my dream.
幻のように展開していく舞台。
あんな狭いステージでやってるのに壮大。演出がカッコいい。
結局は、「人は自分自身で作り上げた牢獄からいかに自由になれるのか」ということがテーマなのかな。
ああ、もう一回観たい!アンコール上映に期待!
シラノはジェラール・ドパリュデュー主演の映画で止まっていたけど、この作品でまた動き出した。
新しい時代のためのシラノが作られた!ブラボー!
シラノつながりでこの映画も観たい。『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』
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