東京都美術館で〈Walls & Bridges 壁は橋になる〉展を観てきた記録。
今のわたしたちの持つ苦しみを理解し、各々に寄り添ってくれるような作品に出会えそう。または、苦しみとの向き合いを促されるかもしれないけれど。いずれにせよ、作品との対話を通じて、生の実感を得られるのではと想像。
長めの会期がありがたい。
増山たづ子さんの作品は、Izu Photo Museumで観たことがある。
2014年の「すべて写真になる日まで」展。
あれから時間が経って、この展覧会ではどんなふうに見えるのか、楽しみにして行った。
▼鑑賞メモ
・編集は橋をかける作業
・分断に橋をかける
・権力に対する声なき強い抵抗
写真に写っている子どもたちは、時期的におそらくわたしと同年代。実際にわたしの子どもの頃の体験とも近い。それも相まって、特別な感情が湧く。
撮られることに慣れている。家族を撮るように。大きな家族。家族の写真を保存するようなアルバムに勝手に愛を感じる。
性犯罪の被害に遭い、生きることに絶望していた人が、写真に出合い、撮ることで少しずつ生きられるようになったという話をしていたのをふと思い出した。インパール作戦で出征した夫を亡くした増山さん。
10万カットという途方も無い物量を想像させる展示内容。
・東勝吉
83歳から絵を描き始める。美術の教育は受けたことがない。
5メートルほど離れて観ると、何を描こうとしたのかがとてもよくわかる
・静けさに触れるだけでも、異なる世界に橋がかかる
・人間にいつ発現するかはわからない。何がきっかけになるかもわからない。人生の早い段階でできる限り多くを与える努力には、あまり意味がないように感じる。まして幸せとの関連は、もっとわからない。