去年の秋(2019年)に発刊されたときから気になっていた本、ようやく読めた。
本の感想を複数人で語り合う「読書会」は、一人の読書よりも格段にメリットが多い。
誰かの意外な感想が、自分に足りない視座を教えてくれ、理解できなかった箇所は、他の参加者が補ってくれる。
課題本は、ビジネス書、小説、哲学書なんでもいい。
感想を自分の言葉で表現する行為は、新しい自分の発見へもつながる。
参加の仕方、会の開き方からトラブル対処法まで、日本最大規模の読書会主催者がその醍醐味を伝授。(幻冬社書誌より)
〈猫町倶楽部〉という読書会を主宰する山本多津也さんの著書。
読書会に興味がある人なら、おそらく一度は猫町倶楽部のホームページをのぞいたことがあるかと思う。
・猫町倶楽部に一度参加してみたいけれど、どんな場なのか知りたい。
・猫町倶楽部に参加してみたけれど、どうしてあんなよい経験ができたのか、主宰している人はどんな人なのか知りたい。
という方にぴったりの本。
この本で猫町倶楽部を初めて知ったという方も、
・読書会ってよく聞くけどなんだろう?参加してみたいけど、どういう体験ができるんだろう?
・読書会をひらいてみたいけれど、どんなふうにはじめたらいいんだろう?やってみたら何が起こるんだろう?
という動機をお持ちの方は、得るものが多そう。
ホームページにも各回のレポートが詳細に載っているので、進め方や雰囲気は伝わってくる。それにプラスして、主宰の人がどんな思いをもって立ち上げたのか、なぜ続けているのか、どんな困難や喜びがあったのかなど、本人の言葉で綴る「本」という形式から伝わってくるものはやはり大きい。
猫町倶楽部ならではの体験を紹介しながら、読書という営みの尽きせぬ魅力、読書体験を人と交換することで得られる体験の無限の可能性についても、丁寧に書かれているので、よくぞ書いてくださった!という感じ。読書会について書かれた本はまだまだ多くはないので、うれしい。
猫町倶楽部は、定例会の他に、さまざまなコミュニティが立ち上がっているので、いろんなことをやっているように見えるのだけど、本書を経て眺めてみると、やはり大切にしているのは、「読書」や「鑑賞」の体験を人と共有するということなのだなとわかる。
紹介型より課題本型を取り入れ、読了を参加条件にしていること、古典を紹介すること、その理由には、わたしも同感。
わたしは、これほど大規模な読書会を長年続けられているのはなぜなのか、どのような運営形態(組織)になっているのか興味があったが、読んでみてびっくりした。この運営力はすごい!
この本が発刊された2019年9月の時点で、「名古屋、東京、大阪などで年200回開催、のべ約9,000人が参加」とある。
場の運営、チームマネジメントに関心のある方には、おすすめしたい。
今は猫町株式会社と法人化されている模様。
わたし自身は猫町倶楽部には参加したことがない。定員の人数が多い場なのか......と躊躇しているうちに、なんとなくきっかけを逸して今まで来てしまった。
ホームページを見ると、コロナ禍の影響で、ここ最近はオンラインでの開催が決まっているようだ。気になる課題本もあるので、この機会に参加してみるのもよいかも……。
人の本の紹介にくっついて、おまけ。
実はわたしも読書会については本を書きたいと常々思っている。
はてなでも過去にバラバラと記事を書いたこともあるし、読書会のつくり方講座をひらいていたこともある。
中でも「読書会ってなに?」はぶっちぎりで当ブログアクセス数第一位なので、関心が高いんだなぁと思う。(しかし今読むと拙い......がくり)
それらを元に一部下書きしたものもひっそりと寝かせてある。
さて、日の目を見るのはいつか......。
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