ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

〈レポート〉1/14 オンラインでゆるっと話そう『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』 w/シネマ・チュプキ・タバタ

1/14夜、シネマ・チュプキ・タバタさんのコラボの感想シェアの場、〈ゆるっと話そう〉をオンラインにてひらきました。

 

第18回ゆるっと話そう: 『ムヒカ 世界でいちばん貧しい大統領から日本人へ』

民放テレビ局のディレクター・田部井氏が、“世界一貧しい大統領”として知られるウルグアイの政治家・ムヒカ氏への取材をきっかけに、彼の言葉や思想、半生と歴史、知られざる日本との関わりを、日本の人々に伝えようと描いたドキュメンタリー作品です。

jose-mujica.com

 

こんなご案内を出しました。

インタビューや取材映像は、賢者と若者の対話でもあり、わたしたちに向けられた問いでもあります。
皆さんはどんなふうにご覧になりましたか。
ムヒカ氏の言葉に聴き入り、佇まいに見入り、その言葉の誠実さと重みが心に残った方も多いのではないでしょうか。
わたしたちが知らず知らずのうちに摂り込んでしまった成功や発展の図式は、どこか間違っていたのではないか。自分の言葉で語ることをやめてしまった政治家がトップに立つ国で、わたしたちは日々どう行動し、何を指針に生きるのか。幸せとは何か。
新型感染症と向き合い続けて一年となる今、この映画がくれる愛や希望を、一人ひとりの感想を持ち寄ることで、あらためて受け取ってみませんか。
https://chupki.jpn.org/archives/7098


 
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当日は満席での開催!

9名満席。キャンセル待ちが出るほどの人気でした。

ムヒカのスピーチをTVで観て知っていた、
絵本で知って、スピーチを探して、また別の絵本も買って読んでいた、
中南米に友人知人がいて、ある程度ウルグアイのイメージを持っていた、
今年の映画初めが『ムヒカ』だった、
など、今回もいろいろな経緯と背景を持ってご参加くださいました。

 

 

こんな感想が出ました

お話ししたことの一部をご紹介します。

映画を通して

・幸せってなんだろうとあらためて考えた。感染症流行中でもあり、響いた。
・中身で勝負すれば、中身で見てもらえる。フランスで受け入れられたイタリア人のピエール・カルダンを思い出した。
・ムヒカが同性婚を合法化したこと、南米の中でも"豊かな国"など知り、遠い国だったウルグアイについて、映画を通して知れた。
・80代の老夫婦が、若い人のためにと動いている姿は、「老害」とは程遠い。次の世代を育てている。諦めて次に託すのではなく、託す大人こそが真剣に生きる姿を見せな九手はいけないのだと気付かされた。自分の年齢や今の状況を考えて、今からでも諦めずにやろうと思えた。
・日本人へのメッセージがたくさん出ていた。
・日本との深い繋がりがあったことを知れたのも良かった。
・日本は島国であったために、異文化が入ってくる時に、本当に驚いて、それまでの全てがひっくり返されるような思いがしたのでは。頼りないからというよりも、未知なものへの憧れが強いなど。

ムヒカについて

・子どもたちに慕われている様子が印象深い。

・リオ会議でglobeではなくplanetを使っていた。

・向こうから歩み寄ってきてくれる人。

・言葉に魂がある、力強さがある。

印象深いシーン

・自宅の書斎のシーン。自分の体験から出ている言葉に重みがある。それでいてわかりやすく伝わる言葉。

・質素と表現された家や畑の様子に、リアリティのある知を感じた。

・家の周りの風景。絵本の絵や写真でみているのとはまた違う「ああ、こんな美しいところに暮らしておられるんだ〜」と知れるのは、映画ならではの良さ。

・国際会議での「大国」と「小国」のヒエラルキーをあからさまに見た。

・広島の原爆資料館のシーン。科学は人間の幸福のためにある。自分の仕事をふりかえって「やはりそうだよね!」と思えた。

・東京外大の講演のシーンで、若者との対話があったが、幸せについての考えを率直に話していて、ああ、不安に感じているんだなと思った。周りを大切にすることだと、一人ひとりに話していたのが印象深い。

・家を建てるプロジェクトのシーンで、子どもが駆け寄ってくるのが印象に残っている。あのような人が間近にいて、みんなムヒカのようになりたいと思うんじゃないか。憧れるリーダーがいるって羨ましい。

・牢獄の中で科学の本を読んでいたというエピソード。極限の状況でも人は幸せを見つけることができるんだと思った。山登りしてキャンプしたり、瞑想をしたり、自分自身と対話してみていることに近いかも。

映画から発展して

・資本主義社会にいて、お金に振り回されている日々から、いかに脱け出せるのか。
・周りの人のことを考えなきゃいけない。自分自身の幸せとバランスよく。
・ムヒカ さんがこのコロナ禍をどうみているか知りたい。
・すごくいい映画、ぜひアンコール上映をしてほしい。(→3月に再映決定しました!)

・対話する会があると、いい世の中になるんじゃないか。みんなで話していると、自分にも何かできることがあるんじゃないかと思える。
・世の中を変えるには、立ち止まって考えることが必要。

 

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場をふりかえって

一人ひとりの語りをじっくりと聴いていって、一周したところでちょうど60分。
それぞれの言葉にじっくりと耳を傾けた時間。
今だからこそ湧いてくる思いが寄せられました。

聴いている時間のほうが多いのに、不思議と語り合ったような体験。
「ああ、わたしもそう感じました」
「あそこは確かにそういうふうにも見えますね」
「へえ〜あなたはそういうふうに観たんですね」
と心の中で対話が生まれていました。

それぞれの人が受け取ったものに、どれも温かい関心と共感があって。まるでお互いに愛や勇気を与えあうような、称えるような、祝福しあうような。

わたしが「代表でお話しを受けて返す」という形にファシリテーションしていきましたが、どんなふうに感じられたでしょうか。
この作品の持つ情熱と、一人ひとりの繊細で美しい感性を、みんなで受け取りあうような時間になっていたらうれしいです。

言葉にできない感情で胸が熱くなり、何度も涙が出ました。「タフな状況下に希望を融通しあえたら」と思って場に臨んでいましたが、それを遥かに超えた感覚でした。

 

会の終わりにチュプキの方々が語ってくださった言葉が素敵だったので、シェアさせていただきますね。

代表の平塚さん: 涙が出るのは、根源的な、本来的な幸せを知っているからこそ。人間には「7つの大罪」があると言うけれど、一人ひとりがそれらと向き合いながら、幸せに向かって歩く。この壮大な旅路をわたしたちは共に生きているのではないか。

スタッフの宮城さん:きょう明日で急に世界は変わらないけれども、いいものをいいと言い、好きなものを好きと言い、声を出して、自分から動いて、一人ひとりが自分の足下を確かに歩み続けていくことが大切だと思う。

 

「一人で生きるんじゃないよ。友人をつくり、仲間をつくり、家族をつくりなさい」とムヒカがスピーチで語りかけていましたよね。そして、「幸せをまず自分から」と。

感想をシェアするこのような場が、幸せをつくりだしていればいいなと思ってやっているし、毎回幸せを感じてはいるけれど、この日は特に強く願いました。

ご参加くださった皆様、ご関心をお寄せくださった方々、主催のチュプキさん、ありがとうございました!

一連の体験をブログに書き収めてくださった参加者のあまさん、ありがとうございます。

note.com

 

次回のゆるっと話そう
2/16(火)『ウルフウォーカー』で話します。オンラインにて。
ご参加お待ちしております。

chupki.jpn.org

 

 

参考資料

★動画

リオ会議スピーチ(日本語字幕)

youtu.be

 

来日前のインタビュー

youtu.be

 

東京外大の講演

youtu.be

 

N高入学式スピーチ 

youtu.be

 

インタビュー:森山直太朗さん(音楽)

youtu.be

 

対談:田部井一真さん(監督)と三浦透子さん(歌)

youtu.be


★書籍

映画で一度観ただけでは流れてしまった言葉も、本と文字の形で何度でも味わえます。 

ムヒカの絵本を出版している汐文社(ちょうぶんしゃ)の特設ページ

www.choubunsha.com

 

★映画

エミール・クストリッツァ監督、2018年製作
『世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ(字幕版)』

eiga.com


配信ページ Amazon Prime Video

www.amazon.co.jp

 

★おまけ
ムヒカの言葉をさらに理解するために。100分de名著『資本論』。
NHKオンデマンドで視聴できます。テキストもおすすめです。

www.nhk.or.jp

 

 

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鑑賞対話イベントをひらいて、作品、施設、コミュニティのファンや仲間をふやしませんか?ファシリテーターのお仕事依頼,場づくり相談を承っております。

 2020年12月著書(共著)を出版しました。

『きみがつくる きみがみつける 社会のトリセツ』(三恵社