ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

〈レポート〉10/26 オンラインでゆるっと話そう『彼の見つめる先に』 @シネマ・チュプキ・タバタ

10/26(月)夜、シネマ・チュプキ・タバタさんとのコラボ、〈ゆるっと話そう〉をオンラインにてひらきました。

 

第16回ゆるっと話そう: 『彼の見つめる先に』

ブラジルのあるまちに暮らす10代の変化や成長を描いた、爽やかな青春映画です。

youtu.be



 

こんなご案内を出しました。

あるまちの、ある学校に通う、10代のささやかな日常。
もう守られてばかりの子どもじゃないけど、まだ大人ってわけでもない。

誰かを好きになるってどういうこと?
ここを出たい、誰も自分を知らないところに行ってみたい。 知らないことに挑戦するのはちょっと怖い、恥ずかしい。
同世代の子たちと気が合わない、馴染みたくもない。
 
苛立ったり、恥ずかしかったり、衝動的になったり。 自分でも訳がわからない感情でいっぱいになる。

あなたにも覚えのある瞬間、あったでしょうか?
ポップで爽やか、ピュアで胸キュンなシーンの数々と、大切にしたい気持ち。
 
他の人の注目ポイントを聞いて、自分には"見えなかった"部分を発見したり、 あのあと彼らはどうなっていくのか想像したりして、ゆるっと話しましょう。
 
ご参加お待ちしています!

お知らせより)
 

 


ご参加くださったのは

視覚障害の方お二人、音声ガイドを担当された彩木さん、字幕吹き替えの役者さん方(レオ役の石神さん、ジョヴァンナ役の山内さん)、シネマ・チュプキ・タバタ代表の平塚さん。
 
いやはや、たいへん贅沢でした!
 
まず、主人公レオが視覚障害者であることから、「視覚障害を持つ方々が、当事者としてどんなふうにこの映画を観たか?」を場でシェアしていただけるのが、とても貴重でした。レオは先天盲(生まれたときあるいは乳幼児の頃に失明して,ものを見た記憶がない)で、参加された方々は中途失明ということで、感覚の違いなども感じられたようです。
 
そして音声ガイドに関わった方々。シネマ・チュプキ・タバタでは、主に視覚障害の方のために、すべての映画に音声ガイドをつけて上映しています。(主に聴覚障害の方のために、字幕もつけています)
今回はブラジル語の映画なので、情景描写は通常の音声ガイドですが、セリフ部分は字幕に出ているものを役者さんが日本語に吹き替えています。
セリフ部分は、それぞれの登場人物に、それぞれの役者さんがついています。
 今回はこの音声ガイドを書いて出演もされている方と、役者さんたちが、ゆるっとにご参加くださったというわけなのです。
 
すごい!
 
「あの役はどんなところを大切に演じたんですか?」
「あのシーンのところはどういう意図ですか?」など、きけちゃうわけです。
登場人物の代理人というか、憑依した人というか、独特の立ち位置からのお話はとても興味深かったです。
 
「この顔ぶれ......。ということは、音声ガイド版も絶対観て(聴いて)おかないと場が成り立たない!」と前日になって気づき(遅い......)、慌てて観に行きました。間に合ってよかったです。
 
 
こんな話題が出ました
 
・二人はいつ恋に落ちたの?
・自分の性的嗜好にいつ気づいたの?
・あのシーンの意味は?
・あの子とあの子は、実はこんな関係では?
・音声ガイドや声の演技の工夫ポイントは?
視覚障害者から見て気づいたことは?
など、いろいろな話題が展開しました。
 
※ まだご覧になっていない方は、ここは薄目で読んでくださいね ※
 
・ジョヴァンナはいい子なので、幸せになってほしい。ジョヴァンナを選ばないなんて、レオはもったいないことをした!
・レオはジョヴァンナを異性としては全く見ていない。友だち。友だち以上の濃いつながりのある関係。きょうだい。ジョヴァンナはレオに対して深い愛情がある。
・この短期間のあいだに、ジョヴァンナは一気に成長して強くなったと感じる。それを象徴するカッコいいシーンがあった!
・親がいつまでも過干渉、過保護はあるある?!
・目が見えないと、相手のどんなところに魅力を感じる?
・ガブリエルがレオに対して、レオがガブリエルに対して、どのタイミングで"恋に落ちた"のか?何がポイントだったのか?
・自分の性的嗜好についての認識はあったのか?それを言葉ではっきり言っていないのがこの映画の良さかも。
・実はファビオはジョバンナが好きだったのでは?!レオのことも好きだった可能性も?ファビオもいろいろ抱えていそう。いろいろちょっかい出しても箸にも棒にもかからないから気になるのでは。
・レオは、感情を抑制して内にためこみがちなキャラクター。実は舌打ちが多い。気が強い印象。
白杖の出し方がポイントになっている。たとえば一緒にいる人が信用できたら出さない、もう信用しているから白杖は要らないけれど人目を気にしてわざと使ったりする、一人ですたすた歩くときはガンガン使う、心がすれ違ったときには白杖を出す、など、心情を表している。
・プールやシャワーなど、水のシーンがたびたび登場するのは、観客をどきどきさせたいからでは(笑)
ウォッカウイスキーの違いもわからない、飲み方もわからなくてストレートで飲んじゃうような子どもが危うくて、思わず親目線でハラハラした
・学校がゆるくてびっくり。キャンプにお酒持ち込んだり、夜中にプールで泳いだり。
 
などなど。
 
それぞれのバックグラウンドや感性、この映画との関係、などから出てくる感想はひたすら興味深く、楽しかったです。

映画のワンシーン、ワンカットが鮮やかに立ち上がり、まさに今、みんなでしゃべりながら映画を楽しんでいるような気分になりました。
 
「当日は参加できないから」と、参加者さんに託して感想をシェアしてくださった方も。
・純粋できれいだった。恋愛がきれいなものなんだとはじめて知った。音声ガイドを聴きながら観たら、「見る感情」と「聴く感情」の両方が同時に別々に動く体験だった。
 
新しいご参加の形、うれしかったです。
 
ほんとうにきれいだし、明るくて、生命力にあふれた希望のある映画です。ぜひいろんな方に観ていただきたい!
 
 
ご感想

・一人で映画を観に行ったので、他の人はどんな感想をもったのか聴いてみたかった。思いもかけなかった視点が出てきて楽しかった。
・一人で役の練習をしているときも、収録現場でもいろいろ発見があったが、きょうもこういう見方もあるのか〜!と思った。共感がたくさんだった。
・普段、映画は一人で観て、感想を人に話すこともないけれど、こうやって出してみと、思いもかけない感想が出てきたのがおもしろかった。
・見る前に申し込んだので、つまらない映画だったらどうしようと思ったけれど、いい映画だったし、みなさんと感想を話せて、結果大満足だった。
 
 
ファシリテーターのわたしも、とてもよい時間を過ごさせていただきました。
ご参加くださった皆さま、一緒に場をつくってくださるチュプキさん、

ありがとうございました!

 

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11月の〈ゆるっと話そう〉は、ただいま作品選定中です。
日程など決まりましたら、またお知らせします。

 

 

 

 

ゆるっと話そうはこんな場!

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