9/25(金)夜、シネマ・チュプキ・タバタさんとのコラボ、〈ゆるっと話そう〉をオンラインにてひらきました。
第15回ゆるっと話そう: 『なぜ君は総理大臣になれないのか』
「ただ社会を良くしたい」、愚直に訴え続ける政治家・小川淳也氏の17年間をとらえたドキュメンタリー映画です。
こんなご案内を出しました。
一人の政治家への関心をきっかけに、政治の話がしやすくなった、政治について知りたくなったという声もSNSで聞かれ、日本の未来に光を感じます。しかも、小川氏は現役の国会議員。刻々と変化し続ける「その後」を追い続けることができるのも、観た人たちと追えるのも、この映画の面白い点でしょう。みなさんは何に注目しながら見ていましたか。
この映画を通して何を考えましたか。
政局が目まぐるしい今だからこそ、わたしたち観客に投げかけられている問い「なぜ君は総理大臣になれないのか」についても、みなさんと話してみたいです。ご参加お待ちしています。
サプライズゲストがありました!
なんと当日は、大島監督が飛び入りで参加してくださいました。
急遽だったので、広くお知らせもできなかったのですが、監督がきてくださったおかげで、かなり突っ込んだ話しもでき、参加してくださった方にはとてもご満足いただける場となりました。
監督がいらっしゃると、どうしても監督への質問タイムになってしまって、観客同士の感想シェアになりにくいのかなと懸念していました。
が、予め趣旨をご理解いただいた上であれば、監督のティーチインでもなく、観客同士の感想だけでもない、ひとつの特別な場がつくれることがわかりました。
そんな経験も踏まえて、今後は監督や制作の方も混じっていただく〈ゆるっと話そう〉も企画していきたいと思っています。
感想いろいろ出ました
みなさんが安心して話せるよう、
・特定の政党への勧誘や政治信条を押し付ける言動はご遠慮ください
・好き嫌いはOK、罵倒はNG
の2点を確認して話しはじめました。
まだ観ていない方にも、参考になる感想だと思います!
・連日たくさんの人が観ている。雨の日も風の日も足を運ぶ。何がみなさんをそうさせているのか。観た人に聞いてみたいのは、「映画を観て何か変化したことはありますか?」
・観た人は、映画の中に自分と重ねる部分を見つけているようだ。組織の一員として小川さんに、妻として明子さんに、子として娘さんたちに、など。
・小泉今日子さんのツイートを見て興味を持った。公開になった6月から、様々な政治の情勢の変化があって、一周まわってモヤモヤしていることがあるので、それを言葉にできたら。
・小川さんが話しているのを聞いて、生活をしている人の感じがした。市民感覚。はじめて政治家で「わかる言葉」で話している人がいると思った。
・小川さんは自分の言葉で話している。嘘がない。
・今まで政治家の話し方にうんざりしていた。論点をすりかえたり、言葉遊びをしているようで。でも人間として話が通じる。
・映画を観て、小川さんの発信を見るようになったが、どれも映画と差がない。あれはそのままの姿だったのだとわかった。
・親が子を誘ってくるだけでなく、小学生、中学生、高校生が親を連れてくる、というパターンもある。詳しいことはわからなくても、「政治家はなぜ政治家をめざすのか」が描かれていることで、子どもたち、若い人も関心を持っている。
・この映画をきっかけに、少しずつでも語れるようになるのではと期待。「ついていける/いけない」「知っている/知らない」の比較ではなく。
・政治の世界が特殊すぎる?
・「小川さんは政治家に向いていないのではないか?」という問いが映画で出てくるが、わたしたちの政治家のイメージが偏っているということの現れでは?中高年で恰幅がよくて眼光が鋭い、といったような。アップデートしたり、上書きする必要がある。
・「政治」という言葉に込められた、「やりたいことではなくても、世渡り上手であれ」というメッセージも、考え直してもよいかも。
・投票率の低さが言われているが、関心がないのもあるかもしれないけれど、感染症の流行の影響で、生活が大変などの理由もあるのでは。逆に、これを機に興味をもつようになった人もいるはず。
・小川さんのような人が政治家としているなら、他にも出てくる可能性があるということ。光を感じる。
・都知事選前に刊行された『女帝』は、小池さんを暴いたり批判する裏話的な内容だったけれど(いい悪いではなく9、『なぜ君』は、小川さんと大島さんとの信頼関係があって、似ているけれど全然違う。『なぜ君』は「政治家も人間」ということを思い出させてもらえる。
・なぜこの優秀な人が出世しなくて、なぜこんな人が......という人が出世する、真逆。こんな誠実な人が生かされない国なのか?
・前首相のときに、極端な言論を起こし続けたせいで、一般の人のあいだに大きな分断が生まれたような気がしている。
・視覚障害のある方の感想で、「声を聞いていると17年経っても若々しい印象に聞こえるけれど、実際はどうなの?」と聞かれたので、「お疲れ気味だけれど、確かにいつまでも若々しい青年のような方ですよ」とお答えした。
・声や顔つきが変わらない、珍しい政治家では。変わらないでいるためには相当の日々の覚悟が必要。
・政治家が自分の言葉で語ることに限界があるのか。まるでロボットがしゃべっているみたいに見える。そうしないと心が生きていけないのだろうか。でも、信念から出てきた言葉を志のある人が我慢しなくてはいけない現状。
・たとえ小川さんに投票したくても、権利がある範囲で投票をいくらしても、わたしたちは入っていけない。どうやったら構造を変えられるのか。
・自分たちで国をよくしている実感がほしい。
・政治家に代弁してもらっている感じがしない。
・女性の政治家がもっと出ないと不均衡では。
・世代交代しても、今の若い人たちが前世代を踏襲したらどうしようもない。生きているうちに一石投じたいが、どうしたらいいか。
......などなど、文章にするとかなり硬い感じに聞こえますが、とても楽しい時間でした。
かなり突っ込んだ話題もあったので、すべては拾えませんでしたが、一端を感じていただけたら幸いです。
政治って話しづらい?
これまで〈ゆるっと話そう〉では、映画を通して、
家族、恋愛、老い、看取り、死刑、回復、人種差別、障害、性、戦争、歴史、文化......などなど、様々なテーマを扱ってきました。どれも日常会話ではなかなかじっくりと語りにくい、対立を怖れて口にしづらい、言ってみれば"センシティブ"なテーマです。
とはいえ、毎回いろんな方がご参加くださって、ゆるっと話そうで感想シェアを楽しまれていっています。
今回のテーマ「政治」にはどんな反応があるかな?と期待していましたが、いまだかつてなく腰が引けている方が多かったのに驚きました。
劇場のほうは毎回満席となるほどの人気。でも「感想を話したい!」となると、「政治のことはよくわからないから」「人と話せるほど知らないから」と引け目や恥の感情が出る。
これはどこから来るのかな、とずっと考えています。
でも、わかる。
わたしたち、子どもの頃から政治の話を日常生活でする習慣がないのですよね。教育の中で、さまざまな場の中で、半ば禁忌とされた話題。
選挙権は持っていても、自力で学びにいかないかぎり、仕組みもよくわからないし、ニュースを聞いても理解できないことが多くなってしまっている。
わたし自身も"詳しい"わけではないのですが、ただ、非常に個人的なことで大小さまざまなきっかけがあって、知る、調べる、人と話す、を繰り返しているうちにどんどん興味(動揺や怒りも)がわいていきました。
まずは"映画の感想"として、小さく口にできることからはじまっていく人もいるかもしれない。
鑑賞対話の場づくりでできることを、これからもコツコツとやれたらと思います。
ご参加くださった皆様、大島監督、一緒に場をひらいてくださるシネマ・チュプキ・タバタさん、ありがとうございました!
▼映画のほうは2020年10月末現在も大ヒットロングラン上映中!
いろんな方に「なぜ君はこの映画を観ようと思ったのか?」を聞いてみたくなります。
劇場情報> http://www.nazekimi.com/#theater
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