ひととび〜人と美の表現活動研究室

他者の表現にふれることから、自分の中にある美の感覚にもふれてみる、自分の美を表現してみる。みんなで探究する鑑賞の場づくりを通して考えることなど。

映画『私をくいとめて』鑑賞記録

チュプキさんで #私をくいとめて 観た。雑に記録。

※以下、映画の内容に深く触れているので、未見の方はご注意ください。

 

kuitomete.jp

 

のん×林遣都すんごかったね。俳優さんってほんとすごい。橋本愛、『桐島、部活やめるってよ』も『リトル・フォレスト』もよかったけど、迫力が増していた。わたしは『あまちゃん』は観てなかったのでわからないけれど、のん×橋本愛のコンビも久しぶりなんだそうで。ファンにとってはうれしいでしょうね。

 

お話は思ってたのと全然違った。

#MeTooを彷彿とさせる傷つきや痛みや怒りがあって。わたしも自分の痛みが出てくる。臓物引きずり出された感じさえした。

途中ではたと気づく。そうだった、大九明子監督の前作もコミカルと見せかけて、ぐいぐいくるんだった。なんといっても原作が綿谷りさだものね。

でも後悔してももう遅い。

 

手持ちカメラで画面酔いしそうになったり、音も辛かったり、叫んだり、いろいろ身体的にくる刺激が多い。みつ子の内側の世界に引きずり込まれる。ひっつかまれて洗濯機で洗われる。終始、居心地がわるい。わたしにも思い当たることがまだらに出てくる。

画面だけではなく、ストーリーの進行にも酔いそうになる。

みつ子は一体なんのことを言っているの?
辻褄が合わないのはなぜ?
過去に何があったの?


みつ子は、いつも何かに助けを求めている。どこかに突破口を探している。

「自分と相談」「自己対話」を実践している。脳内にいる相談役のAのことを「あなたはわたし」と理解していている。

みつ子は「うまくやっている」「うまくやってきた」。けれど、こうじゃない気がする。寂しさは拭えない。

考え方次第でどうにかする。自分で設定を作っていく。自分で自分の守り方や楽しみ方はわかる。自分を変えてみようともしてきた。だけど押し込めていた怒り、癒えていない傷、そこに対してなす術がない。その自分にまた苛立ちがある。

イタリアに行ってしまった皐月との関係も、「親友」だけれど話せていないことがある。皐月もまた言い出せないでいるものをたくさんもっている。

Aとの関係も複雑だ。頼りにしたり、責任転嫁したり、一体感を持てたり、他人のように感じたり。それでも、多田との関係を機にAとの関係が大きく変化していく。

 

『私をくいとめて』は、「傷つきや寂しさと人間はどう付き合っていくのか」という話だったのだなと思う。前作『勝手にふるえてろ』も、恋愛的な感情や生身の人間の登場により殻というか膜を破る話だった。

この二つ、主人公の二人を対比させると何か見えそう。

 

......と一気に書いてみたけれど、こうでもない感じがする。
原作を読むとまた違うのかな。

 

 

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映画を観終わってぐったりとなっていたら、チュプキの代表平塚さんが『もぎりさん』も観ていけば〜と言ってくださって、「30分だし観てみようかな」と気軽な気持ちで観てみたら、とてもよかった。

ttcg.jp

 

いやこれ、観てよかったな!

まず35mm映写機が懐かしかった。わたしは以前映写室で働いていたことがあるから。きっとキネカ大森で現役なんだよね。うれしいな。

エピソードの中で、フィルムが切れる映写事故が起こる話があったけれど、あれは本当に焦る。片桐はいりのあの間のつなぎがよかった。さっき観た『私をくいとめて』に出てきたときは「仕事デキる上司」役だったのに、あっというまにカワイイもぎりさんに。

 

いや、よかったー、ほっこりして家路につきました。

 

最近、台湾映画の、「引きのロングショット、カット割最小限、静かで感情移入があまりない」という作品ばかり見ていたので、なかなか刺激が多かった。

 

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