ひととび〜人と美の表現活動研究室

観ることの記録。作品が社会に与える影響、観ることが個人の人生に与える影響について考えています。

鷗外 の検索結果:

本『坊ちゃんの時代』1〜3部 読書記録

…ンなので、エリーゼ(鷗外のドイツ時代の恋人)も明子も一葉も内心の言葉を与えられていないところに、この時代においての男女の関係の遠さと歪みが表割れている。扶養家族、子どもの世話担当、性の対象。 漱石「女も僕からみれば言うことなすことことごとく思わせぶりだ それが女だよ 女性の中の最も女性的なものだね」 啄木に至ってはあからさまなミソジニーだ。この女性への眼差しも読んでいてつらいし、怖い。つらいように描いているのか? 初出の媒体『WEEKLY漫画アクション』が成人男性向けの漫画雑…

展示「読み継がれる鷗外」@文京区立森鷗外記念館 鑑賞記録

森鷗外記念館で特別展「読み継がれる鷗外」を観た記録。 moriogai-kinenkan.jp 2022年は、鷗外生誕160年・没後100年・開館10年記念というスペシャルイヤー! ということで、大変気合が入っている森鷗外記念館。「鷗外百年の森へ」と題し、様々な企画が目白押しだ。 View this post on Instagram A post shared by 文京区立森鴎外記念館 (@moriogaikinenkan) www.instagram.com 今期の作家…

展示『描くひと 谷口ジロー』@世田谷文学館 鑑賞記録

…なかった。ここ数年、鷗外、漱石、一葉のことを調べていて、私はなぜ辿り着いてなかったんでしょうか。 代表作の一つに、関川夏央さんとのコンビで描かれた〈『坊ちゃん』の時代〉シリーズは、図書館でも書店でも幾度となく目にしてきたのに、なぜか本格的に出会うこともなく、今まで来てしまった。 ゆえに今回の企画展は是が非でも足を運ばねばと思っていた。 来てみたら、いやはや、想像以上にすごい描き手だった! 谷口さんの作品はとにかく密度がすごくて、原稿を10倍に拡大してやっと普通に見られる。細か…

舞台『鷗外の怪談』@穂の国とよはし芸術劇場PLAT

演劇『鷗外の怪談』を穂の国とよはし芸術劇場PLATで観た記録。 www.nitosha.net youtu.be 初めて降り立った、豊橋。駅から直結、徒歩2分の劇場。 なぜ東京からはるばる豊橋まで観に来たかというと、東京公演を知ったときが遅く、予定が合わなかったから。この先どこかツアーするのかなと探したら豊橋がちょうど日程もよかったので、迷いなくチケットをとった。 というのは、以前、ダンスの公演を追っかけて名古屋公演に観に行ったときに(イスラエル・ガルバン)、移動すること自体…

展示「たけくらべ」入門 @台東区立一葉記念館 鑑賞記録

…依頼を受けていたが、鷗外からの反対意見や、緑雨自身が結核で逝去したため、一葉と親しくしていた馬場孤蝶が編集を担当した。写真は後編。確かに亡くなって間もなく、関係者も多いものを、しかも本人は捨ててほしいと遺言していたものを刊行するのもどうなのかと思うが、ここで刊行されていなければ、歴史の中に埋没したかもしれず......難しいね。 妹のくにによる手記。向田邦子と和子の姉妹を思い出す。 ・萩の舎で親しくなった生涯の友人・伊東夏子との手紙のやり取り。一葉は本名・奈津から転じた「夏子…

展示「樋口一葉展 ーわが詩は人のいのちとなりぬべき」@神奈川近代文学館 鑑賞記録

…うことがすごい。 森鷗外の評「此人にまことの詩人という称ををおくることを惜しまざるを得ない」と呼応する。 『うもれ木』は、東京図書館に通い、兄の虎之助を取材して書いた作品。東京図書館は帝国図書館の前身。この資料(PDF)に詳しい。東京図書館のほうはわからないが、帝国図書館は、婦人閲覧室を設けていた時期があるらしい。つまり、男女が同室にいることが一般でなかった時代ということか。 帝国図書館と樋口一葉については、中島京子さんの『夢見る帝国図書館』でも触れられている。p.94「夢見…

展示『写真の中の鷗外 人生を刻む顔』@森鷗外記念館 鑑賞記録

森鷗外記念館で企画展『写真の中の鷗外 人生を刻む顔』を観てきた記録。 moriogai-kinenkan.jp 森鷗外と言えば、口ひげをたくわえ、威厳に満ちた姿で、いかにも文豪というイメージ。 けれど、今回の展示で見た写真は、ほとんどが軍服姿。文豪でもあるけれど、陸軍省の軍医として60年の人生のうち36年勤めている。その間によくあれだけの量の小説を書き、翻訳書を出し、美術関連の役もこなしたものだと驚く。本当に優秀な人だったのだな。 昇進するにつれてどんどん貫禄は増していく。顔…

展示『夏目家の人々』@漱石山房記念館 鑑賞記録

…称「猫の家」)には森鷗外も一時期暮らしていた。解体され、今は明治村に移築されている。 www.meijimura.com 旧居跡の解説(文京区HP) https://www.city.bunkyo.lg.jp/bunka/kanko/spot/ato/soseki.html 東京の都心に住んでいておもしろいのは、文豪と呼ばれた人たちや、文士の集った場所に今も気軽に行けて、当時を偲ぶ仕掛けがたくさんあるということだな。(もちろんここだけが文学世界ではないのは当然として) 次回は…

展示「生誕110年・没後30年 森類―ペンを執った鴎外の末子」@鴎外記念館 鑑賞記録

…記念館。 来るたびに鷗外と作品とまちと時代について知っていくのがおもしろい。 今回は、鷗外の5番目の子どもで、3人目の「男子」である森類(もり・るい)さんの特集。1911年生、1991年に80歳で没。 鷗外が60歳で亡くなったとき、類は11歳。 コレクション展「生誕110年・没後30年 森類―ペンを執った鴎外の末子」 - 文京区立森鴎外記念館 View this post on Instagram A post shared by 舟之川聖子|Seiko Funanokawa…

展示「平塚らいてう没後50年特別展 らいてうの軌跡展」@田端文士村記念館

…。そこに夏目漱石と森鷗外も解説(?)文章を寄せている。それだけ聞くと、よくそんなこと世に出すなぁとか、そこに乗っかるなぁと思うだけで、理解はしづらい。もう少し詳しく知りたい。 ・漱石山房記念館でも、このことは、森田草平の心中事件の後始末をしてやった面倒見のいい人という感じで紹介されていたような気がする。思い違いかもしれないので、また次回行ったときに見てみる。 ・台湾の映画『悲情城市』の中で、次のような話が出てくる。 「日本人は桜の花をめでる。花開き、最も美しい時に、枝を離れて…

展示「郵便創業150年記念企画展 日本郵便の誕生」@郵政博物館 鑑賞記録

6月終わりか7月初めに行った展示。 緊急事態宣言が出されて、しばらく休館していたが、宣言明けから会期を延長してくれていたので、行くことができた。よかった。 www.postalmuseum.jp ―今から150年前、日本に「郵便」が誕生しました― 今や国民にとってなじみの深い「郵便」ですが、その始まりの経緯については、意外に知られていません。日本の「郵便」はどのような経緯で誕生し、その実態はどのようなものだったのでしょうか?2021(令和3)年は、日本に「郵便」が創業してから…

展示『国宝 鳥獣戯画のすべて』展 観賞記録

…東京国立博物館は、森鷗外のゆかりの地でもあったのでした。 ちょうどこの池のあるあたりに、帝国博物館総長室があったそうです。 この方の書き込みすごい!そうか、あの出品目録の最後のページは、こんなふうに使うんだったのですね! 鳥獣戯画展の出品目録の各巻解説は、図入で余白もあってお気に入りです。甲巻の賭弓(のりゆみ)を見ていたら後から「ちゃんと弓の下のほうを持っているよね」「だねー」と聞こえてきて、ほんまや と思いながらメモしました。 pic.twitter.com/wdhyVNA…

本(台湾の歴史関連)読書記録

…ミで出回っているのか、理由がわかった。引揚者が持ち帰れる財産には制限がかけられていたのだ。だから、森鷗外の長男・於菟(おと)も、鷗外の遺品を持ち帰ることが許されていなかった。そのことが書いてある。 これで、鷗外記念館から持って帰った宿題の答えがわかった! hitotobi.hatenadiary.jp 乃南アサさんの著書。こちらは2020年刊。読みたい。 これからも、行く先々で出会っていくだろう。 疑問を書留ながら、「そうだったのか!」を重ねながら、知っていきたい。学びたい。

展示『観潮楼の逸品 〜鷗外に愛されたものたち』@文京区立森鷗外記念館 鑑賞記録

4月某日、鷗外記念館で、『観潮楼の逸品 〜鷗外に愛されたものたち』展を観てきた。 moriogai-kinenkan.jp 鷗外記念館は、2012年に森鷗外生誕150年記念を節目に、元鷗外邸宅、通称「観潮楼」の跡地に開館した個人の文学館だ。 観潮楼は、鷗外がひらいていた文化サロンの名称でもある。名の由来は、かつては文京区千駄木のこの高台から東京湾まで見晴るかせたということから。不忍通りから短く急な坂を登る。千駄木駅からは2、3分なのだけれど、高低差がきつい。昔ここは海だったか…

展示『電線絵画展-小林清親から山口晃まで-』展 @練馬区立美術館

…なるほどー! 先日、鷗外記念館で抱いた問い「明治から大正の郵便や通信ってどんなだったんだろう?」にまた少し近づいた!やはりここから郵政博物館や電気の史料館に行くとよいかも!またいろんなことがわかるかも!しかも郵政博物館は4月20日から『郵便創業150 年記念企画展 日本郵便の誕生』という企画展がはじまる。タイムリーすぎてすごい! ......と、もうこの時点でわくわくが止まらない。 以下はわたし用の記録。 ・小林清親の作品が15点ほど。どれもよいが、『帝国議事堂炎上之図』は、…

展示『複製芸術家 小村雪岱〜装幀と挿絵に見る二つの精華』展 @日比谷図書文化館 鑑賞記録

…じ?(勝手に想像)。鷗外記念館に行ったときも橋口五葉の名が出ていた。気にしていたら、近々またどこかで会えそう。 きのう漱石山房記念館に行った。津田青楓展を観たくて。で、装幀の担当を橋口五葉から津田青楓に変えたということがわかって。きょうも、鏡花が橋口五葉から小村雪岱に変えたとあって。橋口さんて。。にわかにこの人が気になってきた。 — 舟之川聖子|Seiko Funanokawa (@seikofunanok) 2021年2月25日 おまけ。原田治展に行ったときに友人と録ったポ…

この世はいろんなことが無限につながっていく

…鏡花、芥川龍之介、森鷗外、夏目漱石、小泉八雲、竹久夢二、江戸川乱歩......。 作家を調べていると、同時に小村雪岱や津田青楓などの装丁家にも出会うようになっていきました。そしてさらに春陽堂という版元の名前もよく目にするようになりました。 ふと気になって「春陽堂」と検索したら、なんと現在も絶賛営業中の出版社さんでした。明治11年の創業から今まで現役。知らなかった!すみません!わたし、知らないことが多いのです。 こちらの特集ページ、まさに今わたしが訪ね歩いている世界です。うれし…

展示『漱石山房の津田青楓』展 @漱石山房記念館 鑑賞記録

…あったので、後日、森鷗外記念館で手紙の企画展に行ってみたら、当時の郵便事情がわかった。展覧会同士が響き合っている! これから、漱石とも青楓とも、またどこか別の場所で会えそうな気がする。そのときにはまた別の角度から、別の切り口から照らされているだろう。 同じ人間の生が、照らし方一つでいかようにも変わっていくこと、時代が動いていく限り研究は終わらない。楽しみだ! 今回の図録とてもよい。青楓の装丁や絵日記などたっぷり収録。買って損なし。会期は終了しても在庫があれば引き続き販売してい…

展示『拝啓、森鷗外様』展 @鷗外記念館 鑑賞記録

鷗外記念館で開催中の、『コレクション展 拝啓、森鷗外様 -鷗外に届いた手紙』展に行ってきた。 moriogai-kinenkan.jp ここに来るのは、昨秋の『森家の歳時記』展以来だ。 hitotobi.hatenadiary.jp このときの展示がとてもよかったので、「この一年は鷗外を読んで過ごすぞ!」と思っていたのに、なかなか叶っていない。 「まだ読めていないのに、来ちゃってすみません」という、誰に詫びているのかわからないような気持ちを抱えてつつ、やってきた。ほんとうはも…

書道博物館 『中村不折の世界』展 鑑賞記録

…ぎて書家デビュー。森鷗外に、墓石の字は中村不折に、と託されたり、正岡子規と真向かいに引っ越したり、当世の名だたる文化人との親交も厚い。 先日の森鴎外記念館の展示鑑賞で、森鴎外を一人の人としてとらえた実感があったので、鷗外からの書簡なども味わい深く観た。(「森 林太郎」という署名とか!) 体験によって知ったこと同士がつながっていくこの瞬間が楽しい。 hitotobi.hatenadiary.jp *** 中村不折さんの書ですが、とにかくすごい!すごいんです!2階までぶち抜きの縦…

森鷗外記念館『森家の歳時記』展 鑑賞記録

…年9月の終わり。 森鷗外記念館。 開館してからずっと来たいと思いながら月日が流れて、ようやくタイミングが訪れた。わたしは森鴎外という人をずいぶんと誤解していたのかもしれない。初めてちゃんと出会えた気がする。国語の教科書に載っていた『舞姫』が衝撃的すぎたんだと思う。つまり、印象が悪い。でもあれは、初期の代表作であって、ほんの一部だったことを知った。あの時代に、家柄もよく、才能にあふれ、恵まれていた一握りの人間。 軍医と作家の両方で出世して、何不自由なく生きていた。 ......…